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《櫻井ジャーナル》

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2021.01.07
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 イギリスの​バネッサ・バラツァー判事は1月4日、ジュリアン・アッサンジのアメリカへの引き渡しを認めない判決​を出した。勿論、アッサンジ本人やその家族、あるいは友人にとって歓迎すべきものであろうが、これはジャーナリズムに対する死刑宣告とも言える代物だということを忘れてはならない。

 アッサンジを象徴とするウィキリークスは権力犯罪の内部告発を表に出す活動を続けてきた。これはジャーナリズムの仕事であり、アッサンジはジャーナリストだと言える。今回、バラツァー判事は健康的な問題や自殺の可能性から引き渡しを拒否したのであり、アメリカの支配者による内部告発者に対する報復行為は容認している。

 日本では2013年12月に「特定秘密の保護に関する法律」が成立、14年12月に施行されたが、その目的も支配者にとって都合の悪い情報を隠すことにあり、これはプロパガンダと表裏一体の関係にある。

 現在、日本を支配しているシステムの基本構造は明治維新に作られている。アングロ・サクソン系の巨大資本が彼らの長期戦略に基づいて作り上げた天皇制官僚体制だ。本ブログでは繰り返し書いてきたが、いわゆる戦前レジームも戦後レジームも基本構造に変化はない。それを象徴する人物がJPモルガンと深い関係にあり、1932年6月から41年12月まで駐日米大使を務めたジョセフ・グルーだ。この人物は第2次世界大戦後、ジャパンロビーの中心的存在として戦後日本のあり方や進む方向に大きな影響を及ぼした。

 グルー自身もアメリカのエリート一族に属しているが、彼のいとこはジョン・ピアポント・モルガン・ジュニア、つまりJPモルガンの総帥と結婚している。1932年のアメリカ大統領選挙でニューディール派を率いるフランクリン・ルーズベルトが当選すると、すぐに反ルーズベルトのクーデターを計画する。

 JPモルガンを中心とするウォール街のグループが1933年から34年にかけて、ニューディール派の打倒とファシズム体制の樹立を目指すクーデターを目論んだことは、クーデター軍の司令官になることを要請されていたスメドレー・バトラー退役海兵隊少将によって明らかにされた。議会で詳しく証言しているので、誰でも確認できる。

 今ではウォール街の少なくとも一部がナチへ資金を流していたことが判明しているが、そうしたパイプのひとつがユニオン・バンキング・コーポレーション。その頭取を務めていたジョージ・ヒューバート・ウォーカーはジョージ・H・W・ブッシュ(第41代アメリカ大統領)の母方の祖父にあたる。

 ジョージ・H・Wの父親であるプレスコットはウォーカーの部下だった。その金融機関の背後にいたのがディロン・リードやブラウン・ブラザーズ・ハリマンといった金融機関。日本を戦前から戦後にかけてコントロールしたアメリカの巨大金融資本はファシストのスポンサーだったとも言えるだろう。

 アメリカやイギリスの金融資本は1970年代から経済のカジノ化を進めた。生産活動を基盤とする経済の破綻を受け、金融マジックでの延命と繁栄を図ったのだが、21世紀に入って行き詰まりが明確になる。

 その前、1991年12月のソ連消滅でアメリカの支配者は自国が唯一の超大国になったと認識、世界を屈服させ、パクス・アメリカーナの時代に入れると考えていた。そして1992年2月にウォルフォウィッツ・ドクトリンが打ち出される。旧ソ連圏を破壊すると同時に、中国など潜在的なライバルを叩き、エネルギー資源を抱える中東などで自立の道を歩もうとする体制を破壊するという計画だ。2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、侵略戦争が始まる。

 ウォルフォウィッツ・ドクトリンに基づく戦争だと言えるだろうが、このドクトリンはソ連が消滅し、ロシアを属国化にしたということが前提になっていた。ところがロシアでウラジミル・プーチンが曲がりなりにも再独立させることに成功、ウォルフォウィッツ・ドクトリンの前提が破綻してしまう。2015年頃になるとアメリカ支配層は内部で対立が生じたように見えるのはそのためだろうが、ドナルド・トランプ政権の終盤には関係の修復に成功したようだ。

 そして今、世界はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)への恐怖から収容化が進み、経済活動は麻痺、少なからぬ企業が倒産して失業者やホームレスが増えている。世界的に見ると貿易にはブレーキがかかっている。

 COVID-19は経済戦争を激しくさせたが、これは交易を盛んにすることで地域や世界を安定化させようというロシアや中国の戦略にとって良くない状況だ。この戦争では人びとを幻影で操るため、一種の幻術が使われているが、これまで以上にプロパガンダの力が重要になっていることを意味している。そのプロパガンダの嘘が暴かれることは致命傷になりかねない。そうした意味でもバラツァー判事の判決は重要だ。






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最終更新日  2021.01.07 00:00:10



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