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《櫻井ジャーナル》

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2022.10.08
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 ロシア軍がウクライナに対する軍事作戦を始めたのは2月24日のことだが、その直前、少なからぬ軍事の専門家は全面戦争を実行するために十分な戦力は集結していないと指摘していた。作戦に投入された戦力は十数万人から多くても30万人程度だと推測されているようで、キエフ政権側の半分から数分の1だと見られている。

 ドンバス(ドネツクやルガンスク)、ヘルソン、ザポリージャをロシアの一部にするための手続きは終了、​ロシア国内ではウクライナとの国境近くへ大量の兵器が輸送されている様子が目撃されている​。ロシア軍のウクライナにおける軍事作戦は新しいステージへ入ることになるが、それに合わせるかのように、ロシア軍の西部軍管区司令官が交代になった。

 そうした手続きと並行してウラジミル・プーチン大統領は9月21日に部分的な動員を実施すると発表、近日中に20万人以上の戦闘員を新たに投入するという。戦力はこれまでの倍になるというわけだ。

 ウクライナ東部に広がるステップ(大草原)の中に入り込んでいるキエフ政権の部隊はすでに大きなダメージを受けているようだが、ロシア軍が新たな戦力を実際に投入、ミサイルや航空兵力による攻撃を本格化させると致命的なことになりかねない。冬になると、これまで以上に隠れる場所がなくなる。

 アメリカ/NATOはウクライナに対する高性能兵器の供給を加速させ、傭兵を増やし、軍事的な機密情報を提供していると見られている。9月からはNATO加盟国で軍事訓練を受けていた戦闘員も投入し始めたようで、ハリコフへの攻撃にはイギリスで訓練を受けていた部隊が投入されたと言われている。すでに戦闘はNATOが指揮しているともいう。

 NATOとキエフ政権との関係強化をアピールするためか、9月13日にはアンドリー・イェルマーク・ウクライナ大統領府長官とアナス・ラスムセンNATO前事務総長が「キエフ安全保障協定」の草案を発表し、アメリカの統合参謀本部は「ウクライナ司令部」を創設するとしている。今後、アメリカ/NATOが前面に出てくる可能性が高いのだが、いうまでもなくウクライナ軍が優勢ならこうしたことをする必要はない。

 ここにきてアメリカのジョー・バイデン大統領やウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は核兵器の使用に言及、ゼレンスキーはロシアが核兵器を使用できないよう先制核攻撃しろと要求している。アメリカ/NATOやウクライナは自分たちが負けていることを隠すためにロシアが核攻撃を行おうとしていると宣伝しているようだが、そうした兆候はない。新たなステージに進むため、兵器や兵士を移動させているだけだ。

 アメリカ/NATOやウクライナがロシア軍を抑え込むためには核戦争で脅すしかない状況になっているのだろう。バイデン政権を担いでいる勢力に従属することで自らの地位と富を維持拡大してきた人びとにとっても深刻な事態だ。アメリカとロシアが核戦争で共倒れになることを願っている勢力がいるかもしれない。

 2014年2月にバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使ってウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒して以降、ウラジミル・プーチン大統領は話し合いでNATOの東への拡大を止めようとしてきたが、それは無理だと考える人は少なくなかった。おそらく、クレムリンの内部にもいたはずだ。

 今年1月にはイエンス・ストルテンベルグNATO事務総長がそうしたロシア政府の要求を拒絶、EUのジョセップ・ボレル外務安全保障政策上級代表はロシア政府に対し、自分たちの行うことに口をはさむなと言い放っている。ロシア軍が全面戦争の準備をしていないことを知っての挑発的な発言だったのかもしれない。

 しかし、ロシア軍の攻撃は効果的だった。ミサイルで軍事空港などを破壊して制空権を握り、アメリカがウクライナに建設していた生物兵器の研究開発施設を破壊して証拠の隠滅を妨害、機密文書を回収する作戦を始めている。回収した文書によってアメリカ/NATOの実態が明らかになれば西側でロシアとの戦争に反対する声が高まると思ったのかもしれないが、有力メディアは西側支配層のプロパガンダ機関にすぎず、そうした展開にはなっていない。

 キエフ政権が送り込んだ軍や親衛隊の部隊は住宅地に陣地を築き、住民を人質にして戦闘を続けたが、4月に入るとそれも限界に近づく。親衛隊の中核的な存在で、マリウポリを拠点にしていた「アゾフ特殊作戦分遣隊(通称、アゾフ大隊)」は5月に敗北。この段階で親衛隊は事実上崩壊した。ウクライナ軍も壊滅状態で、ゼレンスキー政権はロシア政府と停戦に向けて話し合いを始める環境になった。

 ​4月9日にイギリスのボリス・ジョンソン首相が乗り込んで停戦交渉を止め​、4月21日にはウクライナ南部のミコライフ州の​ビタリー・キム知事が「ウクライナ24テレビ」の番組で「全ての裏切り者を処刑する」と語った​が、いずれもロシアと話し合おうとする動きを止めることが目的だったのだろう。

 4月30日にはナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対してウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めた。ジョンソン英首相は8月24日にもキエフを訪問、ロシアとの和平交渉を進める時間的な余裕はないと釘を刺している。

 クーデターを仕掛けた​オバマ政権はキエフのクーデター政権をテコ入れするためにCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込み​、​傭兵会社「アカデミー(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名をウクライナ東部の制圧作戦に参加させた​と伝えられていた。また​CIAは2015年からウクライナの特殊部隊員をアメリカ南部で訓練​しているという。

 ル・フィガロ紙の特派員、ジョージ・マルブルノはウクライナでの取材を終えて帰国した後、アメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)やイギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)が戦闘に参加している事実を伝えた。

 その間、アメリカ/NATOは戦闘員の訓練を続け、9月に入る頃からそうした部隊を投入してきた可能性があるが、「反転攻勢」は難しいだろう。






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最終更新日  2022.10.08 00:09:11



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