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カテゴリ:第8話 青年インカ
その青年兵――ロレンソは、よく通る、決然たる声音で、敵兵たちに厳然と言い放つ。 「それ以上、住民たちを深追いすれば、容赦はせぬ!! それより先、一歩たりとも、前進はさせぬ!!」
しかし、ますます水の引いていく街中へと、早くも大軍を率いて戻りきた敵将ピネーロは、ロレンソらの砲弾の届かぬ安全な位置にいて、味方の兵に、鋭い手つきで何かの合図を送った。
すぐに、あれを持って来い――!! 大砲の本当の撃ち方を教えてやる」 ピネーロの言葉に、彼の傍に控えていた白人兵たちが、恭順を示して走り去った。
ロレンソは、険しい形相のまま、その見慣れぬ新たな敵の武器に目をこらした。 それは大砲の一種と思われたが、この時代に一般的な40口径前後の大砲に比して、明らかに小型に見える。
「あんな遠くから、こんな高所に向けて放っても、弾が届くはずは……」 だが、ロレンソは、さらに嫌な予感に憑かれて、目元をそびやかせた。 (なんだ? あれは、大砲か? にしては、いやに小さい――…)
ロレンソは、反射的に、周囲の兵たちに叫びに似た声を放っていた。 「下がれ!! 撃ってくる!!」
≪ロレンソ≫ ≪ピネーロ≫ ◆◇◆◇◆ホームページ(本館)へのご案内◆◇◆◇◆ ◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆ 現在のストーリーの概略はこちら HPの現在連載シーンはこちら ランキングに参加しています。お気に入り頂けたら、クリックして投票して頂けると励みになります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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