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カテゴリ:第10話 遥かなる虹の民
夜のチチカカ湖――。 そこは標高3810メートル、世界最高所にある湖。 湖面の面積は約8562平方キロメートルであり、琵琶湖の12倍を超える大きさを有している。 遥か昔、インカの父祖が降り立ったと言われる伝説の湖。 そして、ここはまた、世界に数少ない古代湖――10万年以上存続している湖――でもあった。 昼間は紺碧の水をたたえる広々とした水面に、今は、天空を埋め尽くさんばかりの満天の星空を映している。 濃い青や淡い水色、赤色や黄色、あるいは白色のあまたの星々を映しだす湖面は、まるでもう一つの並行宇宙のようである。 更けゆく夜と共に静寂の深みを増しゆく湖畔を、清涼な風が岸辺の草花を揺らしながら吹き過ぎていく。 その上空に広がる大宇宙と湖面に広がる鏡のような銀河の間に一人の男性の長身のシルエットが見えている。 彼は伝説の湖の畔(ほとり)に立ち、足元まである柔らかな白い衣を身に着け、全身に夜風を吹きまつらわせながら天頂を見上げている。 柔和な微笑みをたたえた端正な横顔では、紫色の瞳が星座を映して宝石のように煌めき、腰まである銀色の髪が風に揺れて美しい輝きを発している。 神々しい星明かりを浴びて微光を放つその姿は、宙に溶けそうな透明感ある佇(たたず)まいでありながら、一方で、非常に強い存在感を放っている。 その年代も、瑞々しい若者のようでありながら、何百年、いや、数千年をも生き永らえてきたかのような老成な雰囲気を持ち合わせており、全く年齢不詳である。 【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆ ≪トゥパク・アマル≫(インカ軍) ≪今回の登場人物≫ ◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆ 目次 現在のストーリーの概略はこちら HPの現在連載シーンはこちら ★いつも温かく応援してくださいまして、本当にありがとうございます! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.11.08 00:04:07
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