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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~

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風とケーナ

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kopanda06@ Re:コンドルの系譜 第十話(149) 遥かなる虹の民(04/18) New! こんばんは。 いつもありがとうございま…
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これまでの主な登場人物


登場人物イメージイラスト


物 語 目 次


頂き物のイメージイラスト


これまでのストーリー


第一話 ビラコチャの神殿


第二話 邂逅(1)


第二話 邂逅(2)


第三話 反乱前夜(1)


第三話 反乱前夜(2)


第三話 反乱前夜(3)


第三話 反乱前夜(4)


第三話 反乱前夜(5)


第三話 反乱前夜(6)


第四話 皇帝光臨(1)


第四話 皇帝光臨(2)


第四話 皇帝光臨(3)


第四話 皇帝光臨(4)


第五話 サンガララの戦(1)


第五話 サンガララの戦(2)


第五話 サンガララの戦(3)


第五話 サンガララの戦(4)


第六話 牙城クスコ(1)


第六話 牙城クスコ(2)


第六話 牙城クスコ(3)


第六話 牙城クスコ(4)


第六話 牙城クスコ(5)


第六話 牙城クスコ(6)


第六話 牙城クスコ(7)


第六話 牙城クスコ(8)


第六話 牙城クスコ(9)


第六話 牙城クスコ(10)


第六話 牙城クスコ(11)


第六話 牙城クスコ(12)


第六話 牙城クスコ(13)


第七話 黄金の雷(1)


第七話 黄金の雷(2)


第七話 黄金の雷(3)


第七話 黄金の雷(4)


第七話 黄金の雷(5)


第七話 黄金の雷(6)


第七話 黄金の雷(7)


第七話 黄金の雷(8)


第七話 黄金の雷(9)


第七話 黄金の雷(10)


第七話 黄金の雷(11)


第七話 黄金の雷(12)


第七話 黄金の雷(13)


第七話 黄金の雷(14)


第八話 青年インカ(1)


第八話 青年インカ(2)


第八話 青年インカ(3)


第八話 青年インカ(4)


第八話 青年インカ(5)


第八話 青年インカ(6)


第八話 青年インカ(7)


第八話 青年インカ(8)


第八話 青年インカ(9)


第八話 青年インカ(10)


第八話 青年インカ(11)


第八話 青年インカ(12)


第八話 青年インカ(13)


第八話 青年インカ(14)


第八話 青年インカ(15)


第八話 青年インカ(16)


第八話 青年インカ(17)


第八話 青年インカ(18)


第八話 青年インカ(19)


第八話 青年インカ(20)


第八話 青年インカ(21)


第九話 碧海の彼方(1)


第九話 碧海の彼方(2)


第九話 碧海の彼方(3)


第九話 碧海の彼方(4)


第九話 碧海の彼方(5)


第九話 碧海の彼方(6)


第九話 碧海の彼方(7)


第九話 碧海の彼方(8)


第九話 碧海の彼方(9)


第九話 碧海の彼方(10)


第九話 碧海の彼方(11)


第九話 碧海の彼方(12)


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2021.11.06
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再びアンドレスが深く頷く。


「確かに、ヨハンの言う通りだ。


今はあまり時間が無いから詳しくは説明できないけど、国外追放の件は大事なので話しておきたい。


ヨハンが言ったように、イエズス会の神父たちが国外追放になったことは本当だ……。


スペイン国王にとっては、インカの解放運動を推し進めようとするイエズス会の神父たちは、邪魔者でしかなかったからだ。


しかも、その国外追放が行われたのは今から15~6年前のことで、そんなに昔のことじゃない」


低く押し殺したアンドレスの声音に、ジェロニモやペドロも言葉を失ったまま唇をかみ締めている。


そして、ヨハンもまた同様に、無言で聞き耳を立てていた。


そんな彼らの前で、アンドレスはさらに重い口調で続けていく。


「国外追放を命じられた神父たちは、自分たちがいなくなった後の当地の民の行く末を案じて、どうすべきかすごく悩んだ。


だけど、スペイン国王のイエズス会弾圧は日毎に強まっていき、この国に留(とど)まっていたら、いつ命を奪われるかわからないような状況だった。


それで、多くの神父たちが、やむなく国外へ亡命していったんだ」


海底に沈み込んだような冷え冷えとした沈黙が流れた後、思いきったように低声(こごえ)でペドロが問いかける。


「あの……では、この国に残ったイエズス会の神父様は、誰もいなかったのでしょうか?」


「いや、ごく少数だけど、いた。


だけど、残った神父たちも、結果的には、皆、暗殺されてしまったが……」


そう答えたアンドレスの握り締めた拳が、微かに震えている。


その様子に、ジェロニモがハッと何かを思い出したように、大きく息を呑んだ。


「……あっ、そういえば、アンドレス様のお父上も神父様だったって、噂を耳にしたコトがありますが。


まさか……!」


アンドレスは顔を俯(うつむ)かせて、苦し気に小さく頷いた。


「──ああ、その通りさ。


俺の父上もスペイン人のイエズス会の神父で、当時、インカの解放運動をしていた。


そして、暗殺されてしまったひとりでもある……」


「……ッ!」


ヨハンも含めて、聴いている皆がグッと息を詰め、いっそう重々しい空気が小さな部屋に圧(の)しかかる。


シン…と静まり返った簡素な室内に、低く絞ったアンドレスの声が再び聞こえてきた。


「実を言うと、父上とアリスメンディ殿は面識があったんだ。


ふたり共、イエズス会の神父で、解放運動を共にしていた同志でもあった。


でも、それだけじゃなくて、ふたりは親友同士でもあったんだ。


スペイン国王から国外追放の命令が下った時、思い悩んだ末、アリスメンディ殿は英国へ亡命するという苦渋の決断をした。


だけど、俺の父上は、この国に骨を埋めるつもりでインカ族の母上と結婚して、既に俺も生まれていたから、国外追放の命令に従わなかった。


その結果、父上は暗殺されてしまったが……。


俺がまだ5歳ぐらいの頃の話だ」


最後は呟くようにそう言って、アンドレスは悲し気に目を伏せた。


【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆

≪トゥパク・アマル≫(インカ軍)
反乱の中心に立つ、インカ軍(反乱軍)の総指揮官。40代前半。
インカ皇帝末裔であり、植民地下にありながらも、民からは「インカ(皇帝)」と称され、敬愛される。
インカ帝国征服直後に、スペイン王により処刑されたインカ皇帝フェリペ・トゥパク・アマル(トゥパク・アマル1世)から数えて6代目にあたる、インカ皇帝の直系の子孫。
「トゥパク・アマル」とは、インカのケチュア語で「(高貴なる)炎の竜」の意味。
清廉高潔な人物。漆黒長髪の精悍な美男子(史実どおり)。

≪アンドレス≫(インカ軍)
トゥパク・アマルの甥で、インカ皇族の青年。20歳。
剣術の達人であり、若くしてインカ軍を統率する立場にある。
スペイン人神父の父とインカ皇族の母との間に生まれた。混血の美青年(史実どおり)。
英国艦隊及びスペイン軍との決戦において、沿岸に布陣するトゥパク・アマルのインカ軍主力部隊にて副指揮官を務めていたが、急遽、トゥパク・アマルの密命を帯びて旅立つことになった。

≪ジェロニモ≫(インカ軍)
義勇兵としてインカ軍に参戦する黒人青年。20代半ば。
スペイン人のもとから脱走してインカ軍に加わった。
スペイン砦戦では多くの黒人兵を統率し、アンドレスの無謀な砦潜入作戦の完遂を補佐。
身体能力が高く、明朗な性格で、ムードメーカー的存在。
これまでも陰になり日向になり、公私に渡って、アンドレスを支えてきた。

≪ペドロ≫(インカ軍)
インカ軍のビルカパサ隊に属する歩兵。
此度のアンドレスの旅の同行者の一人。
20代後半の若さながらも郷里には妻がおり、息子思いの父でもある。

≪ヨハン≫(スペイン軍)
スペイン軍の歩兵。20代半ば。
偶然的な事情から、此度のアンドレスの旅に同行することになった。
スペイン人らしい端正な風貌な持ち主で戦闘力もありそうだが、性格は傍若無人なところがあり、掴みどころが無い。

≪モスコーソ司祭≫(スペイン軍)
植民地ペルー副王領におけるカトリック教会の頂点に立つ最高位の司祭。60代前半。
単に宗教的な意味合いで高位に君臨する存在というだけでなく、植民地統治においても絶大な発言力を有する政治的権力者。
キリスト教の名を笠に着て、いかなる冷酷な所業をも行う一方で慈愛深げに振舞う、奇態な人物。

◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆

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Last updated  2021.11.06 23:43:24
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