783758 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2009.10.21
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
ここしばらく量子物理学と心・意識の関係に興味を惹かれていくらか読んでみたけど、なにしろ数学が高三のレベルで止まってるので、量子物理学の教科書的なものは最初の4,5ページで行き倒れ、一般的に解説したものしか読み進むことが出来ないわけで、そうなるとどうも合点がいかないことが多く、このトピックについて自分の中で燻っている感覚があるのだがそれを文章にすることが出来ない状況が続いている。

この閉塞状況をぶち破るための一策として、ヘンリー・スタップという学者のインタビューの中から、量子論と心の関係を探る上で役に立つと思われる概念やアイディアを、スタップの言葉に僕自身の解釈をまじえて羅列し、それを「量子論と心・意識(序)」と題して今日のブログにしようと思う。

ヘンリー・スタップ(Henry Stapp)は、英語版WikipediaのQuantum Mindという項目にも、量子脳理論の代表的な理論家の一人として取り上げられている物理学者で、ここで紹介するインタビューは2006年の夏に行われた。2007年に出版されたMindful Universe: Quantum Mechanics and the Participating Observerという本の14章に入っている。

そもそも、なぜ量子物理学と心・意識を結びつける必要があるんだ、と半ば懐疑的に思う人も多いと思う。僕の現在の理解の範囲で、主として二つの理由がある。

第一に、ニュートン以来の古典物理学では、ある物体の現在の状態が確定しそれにかかる力関係がわかれば、この物体の未来の状態は確実に予想できる。(但し、すべての関係式が完全にわかっているわけではないので、その分不確実さが介入してくるが。)そうなると、原理的には人間の心そして行動に自由の余地はない、すべては古典物理学的に決定されている、ということになる。ここに量子理論を導入して、人間の自由と物理法則を両立する可能性を探るわけだ。というのも、量子理論で解き明かされる物理現象はある必然なものではなく、観察者の観察によって結果が変わってくるという、不確実で確率的なものだからだ。

第二に、量子理論ではentanglementという現象が発見されている(日本語では「もつれ」と訳されているようだ)。量子理論の述語で説明する能力はないので不正確かもしれないが日常的に説明すると、あるシステムに属する二つ以上の物体を観察する場合、そのうちの一つを観察することで、その他の<もつれた>物体の状態も相関してくる。もっとくだけて言ってしまうと、距離が離れていても、血のつながった兄弟・姉妹の行動は互いに影響しあう、みたいなことだと思う。もつれ現象が意味するものは、光よりも早い速度で二つの物体が交信する、というある種神秘的な状況だ。で、これが心・意識の働きを説明するのに不可欠になってくる(かも知れない)。

さて、スタップのインタビューから幾つか拾ってみよう。

「イオンのレベルでの動態を説明するには、量子物理学が正しく、古典物理学は基本的に間違っている。」ミクロのレベルでは量子物理学を使わない限り正しい答えは出てこない。マクロのレベルでは、正確さをある程度犠牲にし古典物理学を使うことで近似値を出すことで足りる。例えば、昔ながらの19インチ・テレビは古典物理学のようなもので、映像や画像をマクロのレベルで漠然と見ている時にはこれで十分だ。ところが、ある俳優の顔が整形されたかどうかを見極めるために一年前と現在の映像をじっくりと見比べるためには、高解像度のもとの映像と高解像度の大画面スクリーン、つまり量子物理学が必要になってくる。心・意識を生み出す脳の活動に、量子論レベルの説明が必要かどうか、スタップなどの量子脳理論の研究者達はこれが必要と考える。

「(アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド Alfred North Whiteheadの哲学を引用して)現実世界は実際的な機会(actual occasions)で構成されている。実際的な機会は単なる可能性から現実のものとなる。つまり、実際的な機会というのは存在(being)ではなく生成(becoming)である。」世界にあるのはある静態的な物質ではなく、ある境界をもった可能性の集まりで、この粘土のような可塑的な可能性は常に何かに変貌していく過程の中にある。

「ハイゼンベルグ(量子物理学創始者の一人)はこう言っている。観察という行為によって、可能性が実現する。」量子理論では、観察が実際に行われるまでは、観察される状態は単なる確率でしかなく、まだどの状態にあるかはわからない。観察することでその状態が確定する。

「物事が起きる傾向とはある確固としたものではなく、時とともに変化する。その境界内のある部分で観察が行われると、境界内の他の部分でのある物事の起きる傾向も同時に変化する。」これがentanglement(もつれ)だろうか?

「量子理論から見ると、デカルトの提案した心と身体という二つの実質という概念は現実に合わない。ただ、現実に二つの異なる様相があるというのは頷ける。」

(この項、続く)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009.10.21 07:07:25
コメント(5) | コメントを書く


PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

cozycoach@ Re[1]:キンドル本をダウンロードできない(12/04) たいていの人は何かに、誰かに、アンチを…
JAWS49@ Re:キンドル本をダウンロードできない(12/04) 解決策を思いつかれてよかったですね。 私…
cozycoach@ Re:キンドル本をダウンロードできない(12/04) ほんとにねー、アメリカのサポートはイン…
ranran50@ Re:キンドル本をダウンロードできない(12/04) PCの再設定とかめんどくさいですよね~。…
cozycoach@ Re[1]:キーワード検索機能(11/10) JAWS49さんへ 恣意的とは違うんですけど…

フリーページ

日記/記事の投稿

カテゴリ


© Rakuten Group, Inc.