予想外の敗戦を喫したクリントン候補だが、総得票数では11月25日現在、200万票（総投票数のおよそ1.4％）近くもトランプ候補・次期大統領を上回っている。クリントンを支持したアメリカ国民が諦めきれないのも無理はない。

そこへ舞い込んだのが、ウィスコンシン、ミシガン、ペンシルバニア州での投票結果がおかしいから再集計を請願するように、というクリントン陣営へのアドバイスで、これは弁護士John Bonifaz と コンピューター・セキュリティの専門家J. Alex Halderman達が持ち込んだ。先週の木曜（11月17日）頃のようだ。

報道されている限りでは、このグループが指摘しているのは、ウィスコンシン州の投票に関して、投票用紙による投票と電子投票の間で、二人の候補者の得票率に差がありすぎる、という点らしい。紙の投票に比べて電子投票でのクリントン支持票が7パーセント低い、これは電子投票が何らかの方法でハックされた可能性がある、ということのようだ。ミシガンとペンシルバニアについて同様の問題を指摘しているのかどうか、定かではない。

クリントン陣営がこの働きかけに応じたという話は聞いていないが、緑の党（Green Party）の大統領選候補者Jill Steinが行動を起こした。11月23日（水曜）にウェッブサイトを立ち上げ、問題になっている3州での再集計のための資金の寄付を募り始めた。2日後の11月25日（金曜）、午後3時（西部時間）現在、およそ530万ドルの寄付が集まっていて、ウィスコンシンとペンシルバニアの再集計の申請をすることが可能になっている。ペンシルバニアの再集計申請とその他の費用の為にあと170万ドルが必要だそうだ。寄付金は申請費用、弁護士費用、再集計の際の立会人費用に使われる。なお、この3州の再集計の申請期限は、ウィスコンシンが11月25日、ペンシルバニアが11月28日、ミシガンが11月30日となっている。

この再集計で今回の結果が覆るとは思えないものの、あっという間に500万ドルを超える寄付が集まるという事実は、多くの人々がいまだに納得できない、という深い精神的痛みの表現と考えられる。一方で、（人口ではなく）地理的にはほとんどの郡でトランプが勝利しているわけで、ここ10数年既成政治家が取り上げてくれなかった困窮する生活への不満が、とうとう噴出したという印象だ。これらの地域に住む人たちにとってはグローバル化とか多元文化への寛容とか世界の警察などは、二次的な問題なのだ。