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アメリカ時間、5月9日(火)、FBI長官・ジェームズ・コミー(James Comey)が突然更迭された。その日の夜には英語版ウィキペディアの項目、「Dismissal of FBI Director James Comey」が書かれていて、衝撃の大きさを表している。
トランプ氏自身は更迭について幾日か考えていたようだが、その実行については、ごく身近な側近を除いてほとんど誰も知らなかったという。ジェームズ・コミー自身も、ロサンジェルスのFBIオフィスの一室でテレビのニュースを見て初めて知った。最初は何かの冗談だと思ったそうだ。 更迭は、司法長官・Jeff Sessionsと副司法長官・Rod Rosensteinの勧告に従って実行された、とトランプ氏の告知文にある。しかし、この勧告はあとから取ってつけた感がある。おそらく、自分自身で数日間あるいは数週間考えていたことを実行するにあたって、司法長官の手紙を要求した、というのが真相ではないだろうか(Politicoの記事による)。 ジェームズ・コミーの更迭を共和・民主両党が歓迎する、とトランプ氏も側近も読んでいたようだ。特に民主党議員とっては喜ぶべきことだろう。クリントン氏のEメール事件を早期に解決しなかったばかりか、投票の11日前になって消えかけた火をもう一度つけた、その結果クリントン氏が敗れたのだから。トランプ氏の予想に反して、火曜日の夕方5時ごろに幾人かの上院議員に電話で更迭のことを告げた時、民主党の上院議員・Chuck Schumer(野党リーダー)は、FBI長官の更迭は大きな過ち、だと返答し、トランプ氏は驚いたそうだ。 思い起こすのは40数年前、ニクソン大統領がウォーターゲート事件の特別検察官(independent special prosecutor)だったアーチボルド・コックスを(司法長官を通じて)解任したことだ。「土曜の夜の殺戮」と呼ばれるこの事件は大きな波紋を呼び、その約1年後、ニクソン自身が辞職することになった。 トランプ氏のコミー更迭は、トランプ陣営とロシアとの関わりを調査している人間を退ける、という点で、「土曜の夜の殺戮」に相似している。これがもし、特別検察官の設置への呼び水になるとすると、いろんな可能性が一挙に芽を吹く。ドラマはどう展開するか、見物だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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