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ヤフー・ジャパンのニュースでビートルズの「リボルバー スペシャル・エディション」が、10月28日にリリースされる、とあった。
「リボルバー」とは、1966年4月から6月に録音され、アメリカで同年8月、日本では10月に発売された、ビートルズ中期の作品「Revolver」のこと。1965年12月に発売されたアルバム「Rubber Soul」とともに、最高傑作だと押すビートルズ愛好家も少なくない。ここに至るまでのビートルズは、黒人音楽を中心としたカバー曲とオリジナルの曲を巧みにミックスして成長してきた。Rubber Soul/Revolver以前のオリジナル曲はまだ成長の途上にあったともいえる。しかし、Revolver制作の頃には、メンバー各人の個性が徐々に別方向に向かっていくのが感じ取れるようになってきた。バンドとしての創造性が成熟した時に、バンドの瓦解が始まったのかも知れない。 10月28日に発売されるRevolver Special Editionをアマゾンで調べてみると、販売の仕方が複雑で、(1) CD5枚組セット、(2) LPレコード7枚+EPレコード1枚セット、(3) CD2枚組セット、更に (4) アマゾンのみで販売されている1LP+ターンテーブルマットと、少なくとも4通りがある。(1)と(2)には100頁の、(3)には40頁のブックレットが付いている。 (1)の場合でいうと、その内容は、CD#1に全14曲のリミックス・バージョン、CD#2から#4には各曲の様々なテイクやモノラルのバージョンがぎっしり詰まっている。CD#5にはEPで発売したPaperback WriterとRainのリミックスが入っている。 10月28日の発売を前に、「Taxman」、「Got to Get You into My Life」、 「Yellow Submarine」の3曲がストリーミングで配信されている。 「Got to Get You into My Life」(以下、GGYMLと略す)で、ビートルズは初めてバックにホーン・セクションを導入した。ホーン・セクション(トランペット、サックス、トロンボーンなど)を使うジャズロック風のバンドが登場するのは1967年頃で、有名なのはBlood Sweat & Tearsや Chicago、ビートルズはそれを先取りしていた。 ところが、配信されたGGYMLのセカンド・バージョンは、まだホーン・セクションをミックスしていない段階のものだった。ホーンのメロディはギターの単音で弾かれていた。また、サビ風のところ「Ooh, and I suddenly see you, ooh, did I tell you I need you, every single day of my life」で下線の部分がハーモニーで歌われていた。 GGYMLを聴いただけであるが、僕のようなあまり違いの分からない人間には、1966年のバージョンで十分、あるいは1978年にEarth Wind & Fire(アメリカのジャズ・ロック・フュージョン・バンド)がカバーした超ダンサブルなバージョンでもうお腹は一杯、Revolver Special Editionの他のリミックスにはあまり興味が湧かない。基本的に、古い材料を切ったり貼ったりして違ったフレーバーを付け加え新しいものにし、古いファンや若い層の気を引こうという商業主義だと思う。これで若い人たちがビートルズに触れる気になるのならそれもいいか、と思うくらいだ。 ひとつ面白いのは、Special Edition のプロデューサーをしているGiles Martinが採用したde-mixと呼ばれる新しい技術のことだ。ちなみに、Gilesは、ビートルズのプロデューサーだったGeorge Martinの息子である。 レコーディングはいくつかのトラックあるいはチャネルに別々に録音される(multitrack recording)。具体的にはよく知らないが、たとえばベースはトラック1、ドラムスはトラック2、ギターはトラック3、ボーカルはトラック4、という具合に。これらのトラックを一つの作品にすることをミキシング(audio mixing)という。いろいろな調味料の混ぜ方が微妙で技術を要するように、ミキシングも難しい。音のバランス、あるトラックの音をフェードさせたりブーストしたり、おそらく今では音程なども調整出来るのではないかと思う。一旦発売された曲の音源トラックを削除したり追加したりして新しい曲にすることがリミックス(re-mix)だ。 古い音源のレコードは、マルチ・トラック録音でなかったりトラックの数が少ないものが多い。こういう音源からトラックを技術的に抽出する技術がde-mixだ。AI(人工知能)のアルゴリズムを使っているに違いない。抽出されたトラックを使って新たなリミックスが可能になる。 GGYMLの2009年リミックスをユーチューブで聴く SpecialEditionのセカンド・バージョンをユーチューブで聴く ついでにEarth Wind & Fireのカバーバージョンをユーチューブで聴く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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