カテゴリ:バレエ(海外バレエ団)
世界のプリンス、ウラジーミル・マラーホフ率いるベルリン国立バレエ団(Staats Ballett Berlin)が初来日。
2002年9月より、既にベルリン国立歌劇場バレエ団(Ballet der Deutschen Staatsoper Berlin)の芸術監督に就任していたマラーホフ。その後2004年1月に、ベルリン・ドイツ・オペラ(Ballett der Deutsche Oper Berlin?)、ベルリン・コーミッシェ・オペラ(Tanzheater Komische Oper Berlin?)との三団が統合。ドイツ最大規模のバレエ団に。確かに単純に団員数だけで比較したら、ハンブルクやシュツットガルトよりも多いね。 いまやドイツは、クラシックからコンテンポラリーまで、世界に名だたるコレオグラファーとそのカンパニーが目白押し。芸術性と今後の発展性においては、いま世界で最も充実しているのはドイツかも。そんな背景を頭の隅に置きつつ、マラーホフの踊りそのものは勿論のこと、芸術監督の手腕にも期待が高まる。(大袈裟か~?) 【 ラ・バヤデール 全4幕 】 音楽:ルートヴック・ミンクス 演出・振付:ウラジーミル・マラーホフ(マリウス・プティパによる) 〈主要キャスト〉 ニキヤ ディアナ・ヴィシニョーワ ソロル ウラジーミル・マラーホフ ガムザッティ ベアトリクス・クノップ 領主 アレクセイ・ドゥビニン 大僧正 アンドレイ・クレム 黄金の仏像 マルチン・クライエフスキー で、感想。 ドイツ的な堅実さを感じた舞台で、舞台美術を含む演出からマラーホフの振付けまで、全般的に上品に、控えめにまとまっていたと思う。マラーホフとゲストのヴィシニョーワが素晴らしかったのは、当たり前として、カンパニーのレベルは…同じドイツのカンパニーで今春観たハンブルクが、ボリショイやキーロフレベル?だとしたら、ベルリンはキエフ並み?チケット代S席¥20,000は、少々お高かったかも? マラーホフは素晴らしかった。柔軟性と音のしない(少ない)跳躍は、さすが。 繊細すぎて戦士には見えなかったけれど、2人の女性との間で翻弄するソロルの苦悩は、痛いほど感じた。己の優柔不断が招いた悲劇のヒーロー?これでは、まるでジゼルのアルブレヒト。 自称ベストパートナーのヴィシニョーワとのパ・ド・ドゥは、100%安心して観ていられる。ガムザッティとの結婚式で、亡霊となって駆け抜けるニキヤ…怖いぃ~。ヴィシニョーワは、かなり怖い系のニキヤだったけれど、以外にも許容範囲でした。(ちなみに一番好きなのは、ザハロワのニキヤ) ガムザッティ役のベアトリス・クノップは長身で手足が長く、とても伸びやかな踊り。見栄えがするダンサー。かなりのベテランらしいけれど、気位の高い領主の”娘”を演じきっていた。ニキヤとのソロルをめぐる対決シーンでは、ヴィシニョーワもじわじわくる怨念系なだけに、表面的な安っぽい女の争いというよりは、女の情念の対決…という感じ。 黄金の仏像役のマルチン・クライエフスキーは、高い跳躍力で魅せてくれた。セットの大仏?が、真ん中からパカーッと割れて中から出て来たのには、思わず笑ってしまった。踊ったあとは、再び格納される(笑)合体ロボか。黄金色もキンキラキンではなく、渋めの「黄金」で上品なのは◎。ダンサーの判別がつかないほど、ピカピカなのは勘弁~。 最後の寺院崩壊シーンは、稲妻やドライアイスなどを効果的に使用して、かなり盛大に崩壊。今までの淡々とした展開は、何だったの?でも、壊れないバージョンや壊れ方が中途半端だと、何となく消化不良なので、終わり方としては満足。 カーテンコールでは、主催のNBSから大きな花篭が舞台上に。置いた時に花篭からこぼれ落ちた赤い薔薇?をマラーホフが拾って、さらに同じ薔薇をもう一輪抜いて、ヴィシニョーワとクノップに渡していた。2人のヒロインに、ちゃんと気配り♪指揮者のソトニコフさんも(もう、ケヴァルさんじゃないのね)真似して?オケピットに、薔薇を投げ入れていた。微笑ましい。 来週は、ニーベルングの指環だ~。 こちらはマラーホフの味付けが加わるわけではないが、ベジャールバレエ団ほどアクの強さがないこのカンパニーが演ずると、どうなるのか。楽しみと同じぐらい心配もしている。 1990年のモーリス・ベジャール・バレエ団公演は、鮮烈だった。とくにローゲとジークフリート。ジル・ロマンとヨーラン・スヴォルベリのイメージがいまだに焼き付いて離れないよ。バナ、ガスカール、グダニエック…みなそれぞれに強烈な個性、カリスマ性のあるダンサーだった。 なるべく比較しないで、まっさらに近い状態で観ようとは思うのだけど。どうなるかなぁ。 以前のベジャール・バレエ団の公演では、チケット購入者にはストーリーの予習用?に、小冊子が郵送された。それを引っ張り出して、ただいま復習中。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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