カテゴリ:バレエ(国内バレエ団)
【新国立劇場バレエ団】
「ジゼル」 新国立劇場 オペラ劇場 開演 14:00 <主要キャスト> ジゼル 本島美和 アルベルト バンジャマン・ペッシュ ハンス 冨川祐樹 ミルタ 西川貴子 クールランド公爵 ゲンナジー・イリイン バチルド 湯川麻美子 ペザント・パ・ド・ドゥ 遠藤睦子/グレゴリー・バリノフ ドゥ・ウィリ 寺島まゆみ/真忠久美子 ジゼル役に当初のキャストされていた、パリ・オペラ座エトワールのクレールマリ・オスタが降板したため、代役は本島美和さん。目鼻立ちがハッキリしているかたなので、可憐さのなかにも芯の強さを秘めたジゼルという印象を受けた。初見のペッシュ@アルベルトは、ジゼルを本気で愛してしまった心優しい青年という感じだ。 アルベルトはバチルドという婚約者がいながら、村で器量良しと評判のジゼルに惚れるという節操の無いダメ男なのだけれど、演じるダンサーによって印象が微妙に変わるので面白い。ジゼルに正体がバレたあとのうろたえ方とか、ジゼルが死んだあとの立ち去り方(逃げ方?)とか、もろもろの表情・仕草にアルベルトの本性が見え隠れするので要チェックなのだ。 今回のペッシュ@アルベルトは、ジゼルに心底惚れていた。ラブラブ光線は出まくりだし、投げキッスは熱々だし。見ているこちらが恥ずかしくなるぐらい。 本島さん&ペッシュは、オスタ降板で急遽組んだペアとは思えない息の合い方で、なかなかお似合い。何よりも雰囲気のバランスが良かった。 ハンス@冨川さんは、熱い…というより短気?なハンスかも。ジゼルへの一途な想いをむき出しにし、自分がジゼルの家に飾った花を「ちくしょう!」と地面に叩き付ける気性の荒さ。幼なじみで恋人未満のジゼルを「お前を守れるのは俺しかいないんだ!」と振り向かせようとするけれど、ジゼルは兄のようにしか思っていないみたい。 今日、最も印象に残る場面=狂乱の場のジゼル@本島さんは、素晴らしい渾身の演技を見せてくれた。 アルベルトの正体がハンスによって明かされる。瞬きもせずアルベルトをじっと見つめ、詰め寄るジゼル。「…嘘でしょう?嘘よね?」と顔を覗き込むが、アルベルトはジゼルの目を直視できず顔を背ける。瞬時に全てを悟ってしまったジゼルがショックで倒れ込み、次に起き上がった時には精神が壊れかかっている。呆然とした表情で、楽しかった花占いや、腕を組んで踊る素振りをしてみるジゼル。台詞はなくとも、「…私たちは、結ばれる運命じゃぁないの?」「私のこと、愛してる…って言ったじゃない…」と、ちゃんと聞こえてくるんだもの。 ウィリになったあとのジゼルは、ザハロワやフェリがデフォルトになっているせいか、今ひとつ「精霊」ぽさが完全に出し切れていない感じがして、ちょっと残念だったかな~。(比べる相手が凄すぎるけれど…)驚異の柔軟性で信じられない身体の動きを見せるザハロワだと、それだけで「この世のものではない」凄みが感じられるので…。 それでも、本島さんの浮遊感は素晴らしかったと思う。ペッシュのサポートも上手かった。 ペザント・パ・ド・ドゥに、遠藤さんとバリノフ君が登場。バリノフ君は、先日の「こうもり」のゲネプロ中に怪我をしたらしく、本公演時に姿が見えず心配したけれど、復帰していたので安心した。でもまだ本調子ではないのかな?いつもより慎重に踊っている印象を受けた。 今公演は地味な印象ながら、全体としてはまとまりがあり、じっくりとストーリーを堪能できたおかげで、近年観た「ジゼル」の中では、最も感情移入し、じーんときてしまった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.07.21 13:07:25
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