カテゴリ:バレエ(国内バレエ団)
【新国立劇場バレエ/エメラルド・プロジェクトNo.2】
「オルフェオとエウリディーチェ」 振付・演出 ドミニク・ウォルシュ 音楽 クリストフ・ヴィリバルト・グルック 新国立劇場 中劇場 開演 15:00 (配役) オルフェオ: 山本隆之 エウリディーチェ: 酒井はな アムール: 湯川麻美子、市川透、貝川鐵夫 新国立劇場バレエ団 (歌手) オルフェオ: 石崎秀和(バリトン) エウリディーチェ: 國光ともこ(ソプラノ) アムール: 九嶋香奈枝(ソプラノ) 新国立劇場合唱団 ギリシャ神話を題材に、ドミニク・ウォルシュが振付た新作バレエ。(…というかコンテンポラリーダンス)仕事中毒気味な駆け出しの若い詩人と、夫とのすれ違い生活に心を痛める若き妻の物語。 <第一幕> エウリディーチェは、オルフェオが出版社に出かけた間、バスタブで急死。神話での「毒蛇」は、この場合「夫からの愛情の欠如」「夫婦間の精神的ストレス」って事になるのだろうか。突然の妻の死を嘆くオルフェオ。 弔問客が帰った後、1人になったオルフェオの前にエウリディーチェの幻影が現われ、彼は妻の後を追うように自殺を図る。 神が彼に憐れみをかけ、アムール(愛の神)が彼に救いの手を差し伸べる。「エウリディーチェを黄泉の国から連れ戻すことができる。ただし、黄泉の国を出るまで、エウリディーチェを見てはいけないし、その事をエウリディーチェに話してもいけない。」と告げる。 黄泉の国の精霊たちはオルフェオを怖がらせ、通り抜けを拒絶するが、オルフェオの心からの嘆願と雄弁な訴えにより、地獄への旅立ちを許す。 舞台上に吊られている照明が床上1mぐらいまで降りてきて、ここは地の底=黄泉の国だとわかる。舞台奥(かなりの奥行き)中央で赤々と燃える松明に向かい、歩んでゆくオルフェオの姿はなかなかドラマチック。 <第二幕> スモークがたかれた幻想的な舞台は、天国を表しているのだろう。客席の後方からオルフェオ役のダンサーと歌手が対になり、舞台に向かいゆっくりと歩む。 スモークの雲の海の中からエウリディーチェが現れ、伸びやかに踊る。幸せそうな妻の気配を察知するが、見ることはできないオルフェオ。夫が自分を連れ戻しに来たことに驚き、喜ぶエウリディーチェ。 地上までの曲がりくねった道は、天上からの照明で描かれた「迷路」。舞台奥に2人の”現在地点”が映し出され、視覚的にも面白い演出だった。 地上までの道々、頑に自分を見ようとせず、抱きしめてもくれないことに次第に不安を募らせたエウリディーチェは、ついに彼のよそよそしさを非難してしまう。耐えきれなくなったオルフェオは、とうとう自分の愛と忠誠を誓うために彼女の方へ顔を向けてしまい…エウリディーチェは彼の腕の中でもう一度死んでしまう。 再びアムールが現われ、彼の忠誠の結果、エウリディーチェは再度生き返る。祝福されたオルフェオとエウリディーチェは自宅に帰り、抱き合い、眠りにつく。 オルフェオが目を覚ますと、ベッドにエウリディーチェはいない。これは夢だったのか? 混乱と絶望でベッドに倒れ込むオルフェオの背後で、浴室のカーテンが開き、エウリディーチェが顔をのぞかせる。 幕 これは単なる「夢オチ」なのか、地獄からのお迎えか?…それは謎。 こういう含みを持たせたラストは好きだ。 酒井はなさんの柔軟かつシャープな踊りが素晴らしかった。夫への献身的な愛をつらぬく健気な妻というよりは、夫を手玉にとりそうなコケティッシュな魅力のあるエウリディーチェかな。山本さんのナルシスティックな青年詩人ぶりも説得力あり。髪型のせいもあるけれど、遠目に首藤さんが踊っているように見えて…案外似合ったかも。 歌手の皆さんは、普段オペラを観ない私が言うのも失礼かとは思うのだけど…う~ん…新国立劇場オペラのレベルってこんなものなのかなぁと、正直期待はずれ。(すみません) アムール役の九嶋香奈枝さんは良かった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.03.29 19:28:34
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