カテゴリ:バレエ(国内バレエ団)
【新国立劇場バレエ団】
牧阿佐美の「椿姫」 [全2幕4場] 振付・演出:牧 阿佐美 作曲:エクトール・ベルリオーズ 編曲・指揮:エルマノ・フローリオ 舞台衣裳・美術:ルイザ・ スピナテッリ 照明:沢田祐二 新国立劇場 オペラパレス 開演 14:00 <キャスト> マルグリット・ゴーティエ:田中祐子 アルマン・デュバル:ロバート・テューズリー デュバル卿(アルマンの父):森田健太郎 伯爵:イルギス・ガリムーリン プリュダンス:厚木三杏 ガストン:冨川祐樹 ナニーヌ(召使):神部ゆみ子 村人:小野絢子、井倉真未、福田圭吾 ジプシー:川村真樹 メヌエット:マイレン・トレウバエフ、八幡顕光 アラブ:真忠久美子、中村誠 チャルダッシュ:遠藤睦子、西山裕子、丸尾孝子 タランテラ:高橋有里、吉本泰久、江本拓 鑑賞2回目。 出がけにバタつき遅刻確実になったので、一幕は潔く諦め二幕から鑑賞。前回、一幕で死ぬほど退屈したので(目も眩むほど美しいザハロワだったから、瞼は閉じなかったけれど)正直、まったく焦らず。しかし…二幕のみ観賞後、深く後悔しました。初めて観る田中祐子さんの情感あふれる踊りと演技の素晴らしいこと! 田中祐子さんのマルグリットは、高級娼婦でありながらも崇高な精神を併せ持つ淑女のようで、とても魅力的でした。遠目からの印象はモニク・ルディエールのよう。ザハロワもそう感じさせたけれど、「体は売っても心は誰にも売らない」…気高き娼婦でした。 前回伯爵役で今回はある意味その恋敵?のアルマン役を演じたテューズリーの青二才加減もなかなか。さすが世界のバレエ団にゲスト出演しているフリーダンサーなだけあって、「何でも演じられる」器用さはさすがです。 作品の感想は、まぁコンパクトにまとまっているし(まとまりすぎ?)、物語の展開もスムーズと言えばスムーズですが、何にしろ盛り上がりに欠けているのが残念です。とくに一幕は、音楽もブツ切りなら場面転換もブツ切りな印象でした。(今回は観ていないので、前回の感想ですが)元々、芝居でも一幕は登場人物の相関関係の説明に終始しがちですが「椿姫」も例外ではなく…。まぁ、仕方がないのかなぁ。 ベルリオーズの音楽を使うのなら、最も有名な「幻想交響曲」をブツ切りにせず、第1から第5楽章まで使えば良かったのに。不安感と疾走感の漂う第4、第5楽章も使えばもっと盛り上がるのに~っと、音楽的にはかなーり不完全燃焼。 ルイザ・スピナテッリ女史による衣裳は素晴らしかったです。美術はバトン幕を多用し、舞台装置らしい装置もなく背景画を変えることで場面転換されていましたが(経費削減?)特に違和感は感じませんでした。 淡々と進行した第1幕とはうってかわり、第2幕の冒頭のプリュダンスの館での舞踏会シーンは、ジプシーやらアラブやらが次々に登場し派手に踊りまくります。ちょっとびっくり(笑)。 でも、ここでディベルティスマンが入るおかげで目も醒めるし、やっぱり”バレエ”を観に来た以上、単純に踊り(テク)を堪能する場面はあった方がいいかも。ソリストの皆さん素晴らしかったですが、とくにアラブの中村誠さんのしなやかな跳躍には目を惹かれました。あとは…マイレン・トレウバエフのメヌエットには笑わせてもらいました。欲張りかもしれないけれど、ポワントならばなお盛り上がったのに。(←個人的な希望) あの素晴らしいノイマイヤー版「椿姫」がデフォルトになっているため、前回の観賞後は作品に対しては正直マイナスな感想しか抱きませんでした。でも、今日改めて(半分ですが)観て多少見方が変わりました。作品を創り上げることは並大抵の労力ではないし、舞台に関わる多方面の人達の才能が「国費で」投じられた以上、日本の国立バレエ団として恥ずかしくないオリジナル作品として改訂を重ねて欲しいと思います。 駄作として埋もれさせるのは勿体ないけれど、同じものをもう一回観たくなる作品ではなかったです。今後に期待。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.11.17 17:19:28
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