カテゴリ:演劇(外国人演出家)
DISCOVER WORLD THEATRE vol.9
「十二人の怒れる男」 作:レジナルド・ローズ 翻訳:徐賀世子 演出:リンゼイ・ボズナー 美術・衣装:ピーター・マッキントッシュ 照明:勝柴次朗 音楽:かみむら周平 音響:友部秋一 ヘアメイク:佐藤裕子 舞台監督:幸光順平 ★Bunkamura「十二人の怒れる男」公演ページ https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/20_angrymen/ Bunkamuraシアターコクーン 開演13:30 <配役> 陪審員1番…………ベンガル 陪審員2番…………堀文明 陪審員3番…………山崎一 陪審員4番…………石丸幹二 陪審員5番…………少路勇介 陪審員6番…………梶原善 陪審員7番…………永山絢斗 陪審員8番…………堤真一 陪審員9番…………青山達三 陪審員10番………吉見一豊 陪審員11番………三上市朗 陪審員12番………溝端淳平 警備員…………………阿岐之将一 <物語> 蒸し暑い夏の午後、一人の少年が父親殺しの罪で裁判にかけられる。 無作為に選ばれた十二人の陪審員たちが、有罪か無罪かの重大な評決をしなければならず、しか も全員一致の評決でないと判決はくだらない。 法廷に提出された証拠や証言は被告である少年に圧倒的に不利なものであり、陪審員の大半は 少年の有罪を確信していた。 予備投票が行われる。有罪11票、無罪1票。 ただ一人無罪票を投じた陪審員8番が発言する。「もし、我々が間違えていたら…」 陪審員室の空気は一変し、男たちの討論は次第に白熱したものになっていく… ※Bunkamura公式サイトより転載 以前からの遅筆に最近はさらに拍車がかかっていますとっくに公演が終了し、皆が忘れた頃に記事をアップしても一体誰が読むんだよ……と自分で突っ込みつつ「いや、そもそもこのブログは自分のための備忘録だから」と言い訳(大汗) 時を同じくして、次年度子ども劇場の合同鑑賞会の候補に東京芸術座さんの同作品が挙がり、私が推薦文を書くことになりました。コクーンで観たものとは演出から全て異なりますが、物語の展開は同じ(以前観たので)なので、感想の代わりに載せようと思います。 「12人の怒れる男たち」は『法廷もの』の金字塔として、映画や舞台で何度も上演されてきました。2009年にも合同例会で鑑賞しています。小平こども劇場では20年前から年間第1位の作品を会員投票で決めるブルーベリー賞を実施していますが、「12人の怒れる男たち」は、2009年の小高・中高生部の最優秀作品賞でした。当時まだ会員ではなかった人、対象年齢ではなかった人はもちろん、以前観た方にも再度観てもらいたい作品です。 というのも、この作品は昨今の日本でもしばし話題になる「基本的人権」や「民主主義」について問題提起しているからです。そう聞くと「難しくてつまらないんじゃ…」とか「大人からの“正しいこと”の押し付けは嫌だ」と構える人がいるかもしれません。でも安心してください。この作品の中で何が正しいのか、人はどうあるべきかを決めるのは観ている一人一人の“あなた”です。 物語の舞台は1950年代のニューヨーク地方裁判所。貧民街で起きた父親殺しの犯人として16歳の少年が第1級殺人罪で死刑に問われます。最終的な評決は無作為に選ばれた12人の陪審員たちに委ねられます。銀行員、広告代理店の営業マン、セールスマン、ペンキ塗装職人、仕事は引退した老人など、社会的な立場も暮らしぶりも異なる12人の一般人がひとりの少年の生死を決めるのです。 法廷で行われた3日間の審理では、少年と同じアパートや近所に住む人物の証言により少年は有罪とされました。この審理に合理的な疑いがあれば「無罪」を、疑いがなければ「有罪」の評決を下さなければなりません。ただし、どちらの場合も12人全員の意見の一致が条件です。話し合いの前に予備投票を行うと…… 有罪11票、無罪1票。全員一致で有罪だろう、さっさと終わって家に帰れる、と思っていた男たちは、どよめき、苛立ちます。 ただ一人、無罪票を投じた陪審員8番が「もし冤罪だったら?せめて1時間話し合いましょう」と提案します。(男たちは陪審員の番号で互いを呼び合います) 空気が一変した密室で、有罪の決め手とされた証言の一つ一つから、薄皮を剥がすように本当の“事実”が見えてくるスリリングな展開に1時間45分があっという間に感じることでしょう。推理劇としても最高に楽しめることを約束します。 それと同時に先ほども触れましたが、人権と民主主義への問題提起についてです。将来ある少年の命、陪審員たちのやり取りで明らかになる12人の男たちの出自やこれまでの人生など、それぞれの中に潜む人権の問題が見えてきます。 また、それぞれに価値観や偏見という「物差し」があることも。その「物差し」を捨て、心を開くこと、さらに話し合って意見をまとめることの難しさも。でもその先には真実があるという希望も。12人の陪審員を私たち観客が陪審する?そんな身方をしても面白いでしょう。 コロナ禍の影響で観られた例会が少なく、どの劇場でも観ることに飢えている会員ばかりだと思います。中でも舞台劇が観たい!心にずしりと響く本格的な舞台劇が観たい!そんな要望を十二分に満足させる作品が「12人の怒れる男たち」です。若い人たちに観せたいです!私も観たいです!観ましょう! 私は正義感がとても強いので(笑)良心が勝利する話は好きです。また一人、そしてまた一人……と「無罪」の挙手が増えるさまは痛快で、「人間も捨てたもんじゃないな」と思いました。 ↑推薦文の効果なのか?鑑賞例会決定会議では、見事「十二人の怒れる男(たち)」が採用になりました。やったあ <後日のTweet> 先日シアターコクーンで観た「十二人の怒れる男」も四方囲みの座席だったね。あれは "陪審員を陪審する私たち"の意味かと勝手に思ったけれどコロナ対策仕様だったのかもね🤔 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.11.05 12:09:15
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