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March 24, 2023
カテゴリ：本とか、絵とか、いろいろ
 日々に疲弊した主人公が、思い立って父の故郷である福岡を訪れ、 自分が居たいと思う場所を見つける。 そこはやがて、同じような人々を気兼ねなく迎える場所となっていき… その店は、三日月から満月までの、夜の数時間だけ開店している。 地の野菜を中心に、時に北の大地直送の食材など、 素材を活かした料理を小ぶりの器で提供してくれる。 本を読んでいても良いし、手紙を書くのも良い、ひとりで居て心地良い。 自分の地元にこういうお店があったら、どんなに良いだろう。 日々、真面目に生きていれば自ずと疲労は溜まるし、鬱憤もすれば落胆もある。 まっすぐ家に帰りたくない夜、一呼吸し直して、ちょっと小腹も満たせる。 その店を見つけた人にとって、そして何より店主にとって、大切な場所。 それにしても、人々の悩みや苦しみの素となるものは、よく知るものばかりだ。 派手に目立とうとするでもない、声高に主張を振りかざすでもない、 ただ当たり前に生きていくのに、何故こうも息苦しくさせるのだろう。 自分の若い頃から何も変わっていない、そんな登場人物たちの状況に、 些か憮然としてしまった。 他の誰でもない、自分自身こそを、楽しませ、喜ばせ、慰め、気付かせ、吹っ切らせ、 そしてまた踏み出すエネルギーを補充する場所。 ひとりで在れる場所って大切だなぁ…と、つくづく思う。 先に読んだ『本のない、絵本屋クッタラ』の関連作で、こちらのシリーズが先行。 冬になると「クッタラ」の店主の元にやってくる、寒がりの幼馴染が、 こちらのシリーズの店主。 どちらの店主も、自分の居場所を先ず得てから、幼馴染との再会があって、 だから、付かず離れずな、ちょっと不思議な関係を築けているのだなぁ…と。 この後、それぞれの物語が続いて、その関係についても、是非読んでみたい。 さて、福岡の店主の同居者と、札幌の店主の共同経営者の、御対面は如何に？ お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
Last updated
March 24, 2023 11:32:05 AM
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