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カテゴリ:坂田 博昭
水曜日の担当は、坂田博昭です。
今回は、門別競馬場から。 (取材日:7月27日木曜日) 先週は、門別もとてつもなく暑かった…… 現地の方々が「これは異常」とおっしゃるぐらいなので。 この夏の北海道、ちっとも涼しくないです。 この日はまず、この人と話しました。 小野楓馬騎手 7月26日に、全国通算300勝を達成! 「まあ……通算っていうのは積み重ねで、続けていればいつかは達成されることですから(苦笑)。」 確かに(汗)。 区切り、ってなると、ついそこから話を持ちかけてしまうのが、私たち伝える側のわるい癖。大切なのは、プレイヤーの心情、なんですよね。記録というものへの向き合い方。 現状についても、話を聞いてみました。 「今シーズン、まずまず『順調』なのかなと思っています。(短期移籍で自厩舎に同期の福原)杏が来ていたことを思えば、数字的には悪くないと思っています。」 昨日8月1日の開催までで、今季33勝。リーディング6位。 昨年がシーズン通じて68勝ですので、開催日数ベースで半分弱来たところでこれなら、確かに悪くない数字と言えそうです。 「それに、自厩舎の馬で勝たなければならないのは当然として……他の厩舎の馬で今年は結構勝たせてもらっています。それも含めて『順調』なのかなと。」 先日は、田中淳司厩舎所属のレスペディーザで重賞のノースクイーンカップを勝ちました。 この取材日には、所属の小野望厩舎のルナエルフ(写真右の桃帽)で勝利 「目標は、なんとしても5位!ですね」 リーディング5位以内。 これは、ずっと以前から彼が続けて話している目標。 いまここの場所で騎手としてやっていくための、彼としての「最低ノルマ」みたいな形で意識しているのでしょう。 2019年 46勝 19位(デビュー年) 2020年 67勝 7位 2021年 87勝 5位 2022年 68勝 8位 「1日1勝が、ボーダーラインでしょう。それだけ勝たないと、5位にはならないと思っています。」 今シーズンの開催日数は、82日。 いまここから、その数字がクリアできたら… 新たな景色が、見えるんじゃないかな。 シーズン後半の活躍が、楽しみです。 一方、福原杏騎手は先々週までの門別への短期移籍期間が終了。 この取材日には、重賞への騎乗のためのスポット参戦、の位置づけで門別に来ていました。 この取材日にも、10Rのフレーシアで勝利! 門別での勝利数は19となりました。 競馬がある期間だけではなく、それに先立つ「乗り慣らし」の時期から、およそ半年近くの長い門別滞在となりました。 「門別に来たことの成果には満足しています。」 この半年間の感想を尋ねたところ、ストレートにこういう答えが返ってきました。 「2歳馬の扱い方をはじめとして、浦和とは異なるコースでのレースの乗り方など、自分が門別に来て知ろうとしていたことを知ることが出来ましたし、自分が事前には思っていなかった様々なことも学ぶことが出来ました。」 勝利のあと、引き上げてきて馬をねぎらう その事前には「思っていなかったこと」って何だったんだろう…… 「レースのこと、色々なことですけれども。例えば、ゲート、でしょうか。ゲートの出し方とか。」 話しているニュアンスには、他にも山ほどありそうな感じでした。 たぶん、細かいことまで含めば数え切れないぐらい、様々な学びや発見があったのでしょう。 思えば、私が見ているのはレース当日のレースが行われている時間帯だけでしたが……それだけでも、多くの人たちと様々な会話を交わしていました。 とりわけ、所属の小野望調教師とは、レースのあとにそのたびごとに、パトロールビデオを見ながら長くやりとりをしているところを、何度も見かけました。 たまたま、後ろに小野望調教師(白いシャツ) 「それは、小野先生に限りません。他の調教師や騎手の人たち、あらゆる人たちと話して学びました。」 それまで所属場で接していた人たちとは、違う考えや技術を持った人たちから学べるのが、若い騎手にとっての短期移籍の価値。これは、取材をしていると本当によく聞こえてくる感想です。 早速、今週の大井から南関東での騎乗を再開した、彼。 恐らく、門別で得たことはすぐにプレーに現れてくるのではないでしょうか。 もう一人。この人の話も。 ルーキー・宮内勇樹騎手 アンダーウェアが黄色になっていました。 「元々、黄色って好きなんですよね。勝負服はまた別の思い入れなのでこの色なんですけど。好きな色は黄色です。」 鞍は黄色仕立て。腹帯などの馬具には、黄色で「勇」の文字があしらわれたもので揃っていました。なかなかかっこいい。 最近のレースについても聞いてみました。 「5月に怪我をして、1ヶ月外から競馬を見ていて、復帰してレースに乗って、『わかった』と思ったこともあったのですが……この2~3週はうまく出来ていないなとまた感じています。」 「指示通りに出来ていないことも多いですし、想定外のことが起きたときにうまく対応出来ていないです。あとから(ビデオで)レースを見て、ああ、とわかるのですが、レースの中でうまく出来ていないなと感じることが多いです。」 ……と話したあとで、気持ちの面にも話は及びました。 「一番良くないのは、そうして『出来なかった』という気持ちを、次に引きずることだと思うんですよね。いまはそうならぬよう、気をつけています。」 ルーキーですし、至らぬ点が多いということは自分でもわかっていながら、周囲に言われるとどうしてもそれを意識する。その影響が、気持ちの面にも及ぶ。 彼の話を聞いて、素晴らしいなと私が思ったことがあります。 それは、そのようにして現状を言葉で説明出来ていること、 それがわかっていれば、これから経験を積むことで、その経験がなんとかしてくれることもあるでしょう。 このレースでも、やや苦渋の表情を見せながら上がって来ました。 彼らしく、レースのあと猛反省したのかな…… シーズン最終盤で、どこまで成長しているか。 その姿にご注目ください。 この日のメインレースは、2歳馬の重賞・サッポロクラシックカップ(1200m) オスカーブレイン 映像で見る限り、やはり鞭に反応していた感じですね。 直線入り口では、内から叩いたら外へ 直線半ばで外から叩いたら、今度は内に とは言え、オスカーブレインにそのロスがあっても、他の馬たちはついて行くことができませんでした。 阿部龍騎手 さすがに笑顔はなかった…… ただ、馬の力量については、手応えを感じたのではないでしょうか。 今年から、短距離向きの牡馬にも「ネクストスター」という大きな目標が出来ました。 まずはこの馬が争覇圏筆頭に名乗りを上げた形。 これについてくる馬が、これから現れるのかどうか注目されます。 次回は、名古屋の話になるかな。 暑いけれど……みなさん体調には気をつけながら、お健やかにお過ごしくださいね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年08月02日 18時22分17秒
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