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2023年08月23日
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カテゴリ:坂田 博昭
水曜日の担当は、坂田博昭です。
 
 今週は、まず佐賀競馬場の風景から。
(取材日は8月20日日曜日)
 


 九州だから、暑いのは当たり前、と思っていたのですが……
 この日の佐賀競馬場は、ひときわ湿気が重たくて、暑く感じられたみたいで。
 地元の方々が「今日はひときわ」とこぼすほど。

 もう8月も後半に入っているのですが、まだまだ空の色も雲の姿も、夏模様。



 JRAが札幌記念当日だったこともあり、馬券を買いに来たお客さま方も含め、日中から結構賑わっていました。
 
 
 プレイヤーの横顔。まずはこの人から。



 青海大樹(おうみだいき)騎手 24歳
 2021年10月にデビューして、間もなく2年になりますか。

 この夏、1週間(開催日3日)だけ、門別に来ていました。
 私が取材に出かけた日にはうまく行き会えなくて、話も聞けなかったんですが……
 3日間で5鞍に騎乗していました。

​「全然形態の違う競馬場での騎乗は、新鮮でした。」​



 去年の7月末からずっと佐賀に短期移籍で来ていて、今年の春には正式に移籍。佐賀で真島元徳厩舎の所属騎手になりました。今季これまで307戦して10勝。通算で25勝。
 いまはとにかく数多く乗って、結果はこれから、ですね。



 いま、仕事の上で一番意識していることは?と、尋ねてみました。

「攻め馬ですね」

 レースの中身云々よりも、「攻め馬」っていう答えでした。

​「いま、大井の真島大輔調教師が(開業前の研修の一環で自厩舎に)来ているんです。大輔さんから色んな話を聞いて、試してみたりもしています。」​

 それは確かに、願ってもなかなかない機会、なのかも。



 この場所でやっていくと決めた、彼。
 この場所とか状況にフィットしていけば……
 自ずとやるべきことは見えてくるよね、きっと。

 来年、デビュー3年になったときに、また少し話をしてみたい。
 ​短い時間の会話で、そんな風に思えました。
 
 
 
 つづきまして。先日念願の重賞を勝てた、こちら。



 金山昇馬騎手 21歳でデビュー4年目
 今年6月11日の佐賀がばいダッシュでスーパースナッズを駆り、初めて重賞を勝ちました。
 
 随分以前から、重賞制覇を当面の目標に掲げ、それを公言もしていました。
 しかし、産みの苦しみといいますか、惜敗が重なってここまで来ました。
 
 前回、12月にこのブログで彼を取り上げた時の様子が​こちら​。
 仕事について思い悩むこともあったみたい。

 6月の重賞勝利は、そんな中での「会心の」勝利と言えるでしょう。
 


「重賞をひとつ勝つことが出来て、気持ちの持ち方は明らかに変わりました。周囲がよく見えるようになって来たように感じます。」
 
 彼は衒いなく、このように話します。

「同じ負けるにしても、いい騎乗をしての負けなのか、それとも自分が失敗しての負けなのか。それをきちんと割り切って考えられるようになっていると思います。」
 
 確かに。
 勝つことよりも、負けることの方が圧倒的に多いのが、競馬の仕事。
 その中でまず「負ける」ということについて具体的に掴むことが出来るかどうかと言うことは、もしかしたら競馬の仕事で成功していくためのひとつのおおきなポイントなのかも知れません。



 8月20日 4レースのロウレイロ
 断然の注目を集めた自厩舎の馬を、しっかりと勝利に導く
 
 ズボンに記されているのは「可能性の獣」の文字。
 ユニコーンガンダム由来のキーワード。
 「ガンダム好き」という以上に、このワード選択には思うところがあるのでしょう。
 
 今年は、8月のこの時期まで終わって、39勝
 去年よりは、若干ペースは落ちているのかも知れませんが……
 
 ここからきっと、逆襲が始まる。その準備は、きっと整ってる。
 そんな気がしました。

 通算200勝まで、先週末の開催が終わった時点で、あと15勝です。


 
 

 この日のメインレースは、重賞の九州チャンピオンシップ(1750m)



 なかなかの銘柄どころが登場しました。



 コースを1周半するレース
 最後の4コーナーで、番手から前を交わし出て行ったミスカゴシマ(赤帽)に
 外からドゥラリュール(黄帽)もつれて追撃
 後ろの方から脚を使ってやってきたヒストリーメイカー(橙帽)も、勢いは互角……



 ゴールの瞬間このガッツポーズ、そして表情を見よ!
 そして​「可能性の獣」​の歓喜の雄叫びが響き渡りました。
 
 ミスカゴシマが半馬身、ヒストリーメイカーを振り切って優勝!
 勝利は今年1月のオープン特別以来
 重賞勝利は、2年前の12月のウィンターチャンピオン以来9つめ。
 2~3歳時に大活躍して、ファンも多いこの馬。
 私も久しぶりにこの馬の勝利を見ることが出来、驚きと共に感激していました。




 金山昇馬は、つくづく「アツい」男だ。
 気持ちが入ると、喜びも、そしてたぶん苦しみも悲しみも、こんなふうに表情豊かに表現する。いや、してしまう。



 取材陣にも、この表情でガッツポーズ



「返し馬の時から馬がグッと行く感じがあって、状態がとても良いと感じていました。(北海道出張で不在の平山調教師とは)2番手につけて行こうと事前に打ち合わせをしていたのですが、その通りのレースになりました。」

 レースの振り返りも、実に冷静でした。
 レースが見えてる。だから勝利に結びつく。

 負のスパイラルに落っこちそうになっていた、去年の冬から
 一段グレードアップした彼が、そこにいました。



 来週8月31日木曜日には、ダートグレード競走のサマーチャンピオン(Jpn3)が行われます。
 
 どんなドラマが待っているかな。
 またこの場所を訪れるのが楽しみです。
 
 
 
 続きまして。まだあります。
 昨日の名古屋競馬場でのお話。
(取材日8月22日火曜日)



 実は、今週の名古屋は連日雨予報。
 しとしと降る雨の予報ではなく、突発的に降る雷雨の確率が50%、みたいな。
 
 昼前に1レースが始まる時点での空模様はこんな感じでした。
 海に向かっているこの方向は青空が広がっているのですが、遠くの方では低い雲がもくもくと立ち上っているのがよくわかります。
 
 重賞レースの騎乗依頼を受けて、この人が名古屋競馬場に初登場!



 大井所属の西啓太騎手 29歳でキャリア10年目
 最近は、各地の重賞レースで騎乗依頼を受けて、スポット参戦することが多くなってきています。先月も門別で1つ勝っていたな。
 
「懇意にしてもらっている調教師やオーナーに声をかけてもらって、声がかかれば出かけるようにしています。競馬場によって、レース全体の流れも違いますし、何よりいつもいる南関東と違う環境で仕事をさせてもらえるのが、刺激になりますね。」 

 いまは厩舎の所属を離れ、東京都騎手会所属、つまりフリーの立場で仕事をしています。

「以前から、他場でも乗りたいと考えていたのですが、フリーになる前はどうしても自厩舎の仕事のこともありますから。いまはフリーになって、むしろ積極的に外に出ることを考えています。」

 いまの立場で、いまの立場だから出来ることをする。
 それがチャレンジの原動力になっているようです。
 


 話を聞いている中で、何度も彼から出た言葉があります。

「南関東は恵まれている」
 
 そのことを感じるからこそ、外に出て行くのだと彼は話します。

「コロナの前には、この名古屋からも岡部さんとか、高知の赤岡さんとか、金沢の吉原さんとかが、短期移籍で南関東に来ていたじゃないですか。当時はその傍らで『トップジョッキーが来たんだな』ぐらいの認識だったんです。でも、自分が実際に、そのトップジョッキーが普段仕事をしている場所に来て、強く感じました。」

 それが『南関東は恵まれている』の意味。
「彼らが、南関東に来て活躍しようという、そのもの凄いモチベーションの中身が、自分が彼らの場所に来てみて、わかりました。」

 興味深い見方でした。
 そうして「敵を知る」こと。それも途轍もない実力と実績の持ち主の気持ちの部分まで理解することを、自分自身のモチベーションにも結びつけている。その考えに触れて、私はハッとさせられました。



 この日は、全部で5鞍に騎乗。
 3レースのハッキヨーヨーで、名古屋での初騎乗に初勝利を飾りました。

「自分は、先々大きなレースを勝ちたい、と思うよりも、目先一つひとつの与えられたことをやっていくことにより、大きなことも実現していく、と考えるタイプです。ですから意識するのは『技術の向上』ですね。」
 
 ともすると控えめにも取れるこのような考えを語ることに、彼もまた全く衒いがありませんでした。
 
​「南関東にはいい馬が入ってきています。いまは3歳のレースも、門別出身の馬ばかりではなく大井から強い馬が出る時代。1頭1頭向き合って自分で馬を仕上げていきたいですね。」​

 その面で自身なりに取り組めているという、自負もあるようだ。

「自分は小林(分場)所属なので、ノンコ(ノユメ)とか、モジアナ(フレイバー)とか、サブノジュニアとか、本当に強い馬の調教に乗せてもらって、経験を積んできました。そういう経験を生かして、強い馬を自分で作っていきたいです。」

 そして、その仕上げた馬に、今度は彼が実戦で乗る番。
 それが当たり前になるときは近いのだと思うし、そういうときが来なければいけないのだと思います。



「競馬の質を、上げたい。それを、自分たち若手がしていかないと」

 話の最後に、彼はそう話しました。
 この世代が、ひとつ上のいま活躍している世代を乗り越えていく日も、それほど遠くはないかも知れません。
 

 話は名古屋に戻って。
 昨日のメインレースは、920mの重賞・ベイスプリント
 東海北陸交流の重賞です。



 前哨戦に当たる、名古屋での前開催のオープン特別・スフェーンオープンで好走したアオイスイセイやウェーブメジャー、去年のこのレース惜敗の雪辱を期するヒロシゲウェーブが注目を集めました。
 
 が、しかし。
 金沢から意欲を持って遠征してきた馬たちは、速かった!!



 格では下だった金沢のアルカウンが、外枠から一気の逃げ!
 ゴールまで止まりませんでした。
 12頭立て12番人気の馬の勝利で、馬券的には波乱の決着

 乗っていたのは、船橋所属の澤田龍哉(さわだりょうや)騎手
 今年なんと!重賞4勝目!!
 今年は、昨日までの段階で早くも昨年一年間の勝利数に迫る32勝をマーク。
 ブレイクしてます!!!



「ゲートの中での立ち方が良くなくて、出はあまりよくありませんでした。でもそこからがグンと速くて、3~4コーナーではやれそうな感じでした。」

 更に、勝利騎手インタビューの模様は、​名古屋競馬オフィシャルYoutube映像​でご覧下さい。



 井樋一也(いびかずや)調教師(馬の左)は、このレースに3頭を送り込み、勝利をものにしました。

「とにかく先手が取れないと前走(読売レディス杯)のように全然ダメな馬。スターオブケリーの方が速いと思っていたのですが、アルカウンは外枠が良かったですね。距離は1400mとかでも大丈夫。とにかくこの馬は、先手が取れるかどうかです。」

 南関東の澤田騎手を起用したことについては……

「いつも金沢に来て乗ってもらってて、勝つのが難しそうな馬ばかり依頼していて申し訳ないと思っていたのですが……今日は勝ってくれて、本当に良かったです。」

 そのあたりのこと、澤田騎手にも聞いてみました。



「今年の冬に、井樋厩舎の厩務員の方とか、安藤勝己さんとかも交えて食事をさせてもらう機会があって、そこで懇意になって縁が出来ました。」

 傍らにいた大ベテラン記者が、あとで一言。
「ここで、彼からアンカツの名前が出るとは思わなかった……」

 本当に、縁、ですよね。
 世界は、狭いといえば狭い。
 その中で、いろんなことが巡り巡ってる。

「そこで、機会があったらよろしく、みたいな話になって、その言葉通り本当に依頼をして下さったので、いまこうして乗せていただくようになっています。他場での騎乗は、騎手としてのモチベーションを高めるために、意識しています。声がかかったら、どんな馬でも状況でも、基本行くようにしています。今回はその中で結果を出せて本当に嬉しいです。」

 ここでも、「騎手としてのモチベーション」という言葉が出ました。

「自分は、レースは全部『運』だと思っているので。」

 最後、こんな風に話をまとめました。

​「展開、天候、その他色んなことが全て揃わないと、馬の力や騎手の力量だけでは勝てませんから。」​

 その「色んなこと」の中には、間違いなく「縁」ということもものすごくある。
 彼の今年の活躍の理由が、わかるような気がしました。

 私もまた、今日はそんな競馬の「縁」に恵まれて、いい一日を過ごせたな。



 来週は、多分、名古屋と門別のお話になるかな。

 夏ももうすぐおわるね。





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最終更新日  2023年08月23日 21時07分55秒



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