資源エネルギー庁は15日、将来の天然ガス資源であるメタンハイドレートの埋蔵量把握に向け、前年度に続き14年度の調査を始めたと発表。対象海域は隠岐周辺、上越沖、最上トラフ、日高沖。将来的な海洋開発需要の発生が見込まれた。
「新たな国産エネルギー」として注目されるメタンハイドレートの日本海での調査が本格化します。独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)と明治大学ガスハイドレート研究所は15日、経済産業省の委託事業として、鳥取県の境港から調査船を出航。約2カ月間にわたり日本海の資源量を把握する調査に乗り出し、初めて海底下100メートル近くでの掘削調査も行う予定です。
下図は「深層型」の太平洋側(左)と「表層型」の日本海側(右)の分布の違いですが、日本海側のメタンハイドレートは、より表層に近く、固まりである事が確認されている。
明治大学ガスハイドレート研究所によれば、2003年に新潟・上越沖で石油天然ガス探査の調査中に偶然、メタンハイドレートが発見され、04年から東京大学の松本良教授(現在は同研究所特任教授)らのチームによって集中的な調査が始まりました。
その結果、日本海側ではメタンハイドレートが海底下から「煙突状」にわき上がって海底表面まで露出していることを確認。数百メートルの深い砂層に広がる「深層型」の太平洋側に対し、日本海側は「表層型メタンハイドレート」として相次いで確認されるようになりました。
出航した調査船「第7開洋丸」は、船底の装置から音波を発し、海底の地形や海底下の地質構造を詳細に把握。その結果を基に有望な海域を絞り込み、6月から7月にかけて掘削による詳細な地質サンプリング調査が行われます。
これまで海底数十メートルしか把握できなかった地質調査ですが、今回は100メートルほどの深さまで掘り進めることを想定。メタンハイドレートの「煙突」の状態や濃度が初めて分かるかもしれません。無人探査機(潜水艇)による長期モニタリング装置の回収と設置も予定されています。