世界保健機関(WHO)は10月10日、エボラ出血熱による死者が4000人を超えたと発表した。一か月で死者が倍に増えた事になる。
来月には一万人という予測が成り立つかも知れない。元々危険なウイルスだったが、回復した者も多く、エボラウイルスに対する抗体をもっている。現在、生存者からの受動抗体の導入はエボラ出血熱に対する唯一有効な治療法である。ワクチンについては2種類あり、11月までに欧米やアフリカの医療機関で安全性に関する臨床試験が実施される。
フランス国立保健医学研究所が中心となり、ギニアの病院で実施。主に初期の患者に対して富山化学のアビガン(一般名ファビピラビル)を投与し、効果を調べる。今年末までに予備検査の結果が出る見込み。同研究所の担当者は今年9月、試験対象者は60人程度になるという話である。アビガンについては、これまでに西アフリカから欧州に緊急搬送されたエボラ出血熱の複数の患者に対して、緊急対応として投与している。すぐに投与できる錠剤として現時点で2万人分の在庫がある。
インフルエンザ治療薬「アビガン(一般名ファビピラビル)」について、英ケンブリッジ大学の研究チームは21日、ノロウィルスに対しても効果を発揮する可能性があるとの見解を示した。アビガンの投与で、ノロウィルスが「致死突然変異誘発」と呼ばれる自滅プロセスに至り、事実上、死滅するとしている。タミフルなどのインフルエンザ治療薬は、増殖したウイルスが細胞外に放出されるのを防いで感染拡大を抑制するのに対し、ファビピラビルはウイルスの細胞内増殖を直接阻止することができる。ウイルスが細胞内で複製を作る際に必要とする酵素「RNAポリメラーゼ」を阻害する働きがある。ひょっとしてアビガンは万能抗ウイルス薬になるのだろうか、それならノーベル賞ものだ。
【追加】カナダ政府は12日、政府の研究所で開発した未承認のエボラ出血熱ワクチン800―1000回分を世界保健機関(WHO)に寄付すると明らかにした。