帚木蓬生著 ほんとうの会議 ネガティブケイパビリティ実践法 を読んだ
ほんとうの会議 ネガティブ・ケイパビリティ実践法 (講談社現代新書) [ 帚木 蓬生 ]作家であり医者でもある帚木蓬生の最近のテーマ、ネガティブ・ケイパビリティについての続編を読んだ。ネガティブ・ケイパビリティとは「答えの出ない事態に耐える力」のことを指す。医療とは一般的に、不健康な状態にある人を診察、検査して、病気と診断して、すなわち病名をつけて、治療することである。しかし、精神科の領域では投薬では治らないのに、話をきくことで治療につながることがある。いわゆるカウンセリングというものである。カウンセリングをする医療者は答えの出ない事態に耐えることが要求される。それが医療者に要求されるネガティブ・ケイパビリティというものだ。本著では、その歴史的な流れに触れている。備忘録として残しておこうと思う。1817年 キーツ 手紙のなかで概念を発表1969年 ブランショ「終わりなき対話」にて、答えは質問の不幸である、と記載1970年 ビオン「注意と解釈」を刊行。ネガティブ・ケイパビリティを精神科領域に取り上げ、「否定的に知る」という概念を創出1973頃 グリーン、ブランシュの上記概念をビオンに伝える 「ネガティブケイパビリティについて〜ビオンの「注意と解釈に関する批判的展望」」を論文化1975年 ビオン ブラジリアのセミナーで「答えは質問を殺す」と明言する。グリーン「否定の働き」を追求する2014 岸本寛史「緩和ケアという物語」を刊行。