カテゴリ:司法研修所前期・後期修習
書くのを忘れていましたが、今日は非常に有益な講演を
聞くことが出来ました。 神山弁護士のプロフェッショナルとしての刑事弁護です。 有罪率99.98%の日本において、刑事弁護をすることの意味。 とりわけ、無実を争う場合の、新人弁護士が持つ葛藤、 というか、素朴な正義感とのせめぎ合いや、ある種の諦め、 すべての行動に、1つ1つきちんとした理由を持ち、 行動し、判断することの大切さを教えられました。 えん罪事件、再審事件などで大弁護団を組む場合には、 捜査段階、一審段階からの弁護活動を1つ1つを解体し、 分析して、このときこのときどうすべきであったのか、 というのを逐一検討するそうです。 この世界には、正解はないこと。 神ならぬ身であれば、真実そこで何があったのかは 正解は分からないこと。 自分たちに出来るのは、事実の痕跡として残された証拠から 推測することしかできないこと。 証拠として、事件現場で見つかった2本の陰毛が提出された。 DNA鑑定すると一本は被告人の、一本は被害者のものだった。 もうこれは覆しようのない証拠かもしれない。 ところが、さらに事故現場に何か残っていなかったか、 証拠請求すると、もう2本、陰毛が出てきた。 それは、DNA鑑定してみると、被告人のものでも、 被害者のものでもなかった。 こうなると、事実は随分と違ってくるのではないだろうか。 素朴な正義感について 一人のえん罪を防止するために、10人の人間を有罪にしても かまわない。 このテーゼをどこまで信じられるか。 やっぱり、疑わしい、怪しいやつを野放しにしては行けないのではないだろうか。との素朴な正義感について。 神山弁護士のコメントの趣旨としては、 確実な証拠があって、どうにもこうにもこいつ以外あり得ないのであれば、それはまあやむを得ないかもしれない。 でも、ただ怪しい、ろくな証拠もないのに、ただ怪しい、 というだけで、無実の人間がなんの根拠もなく、 一生刑務所に入ったり、生命を奪われることがそれがまともな社会なのか、と。 突然あなたが逮捕されて、訳の分からない間に裁判にかけられて、 死刑になる。 それが本当にまともな社会なのか、と。 神山弁護士の話は実践的で非常に有益なので、 機会があるときは是非聞きに言った方が良いと思います。 民弁ラストの起案が返却されました。 証拠上2段の推定は崩れまくりだろうと主観的に思っても、 あくまできちんと客観的な盗取可能性、接近可能性、 その上で、具体的な方法、さらに主観面としての動機を 書くのは必須のようです。 代理人としては、そんなん当たり前だろう、と思っても、 代理人は代理人、裁判官は裁判官で、 自分がそう思っても、裁判官がそう思ってくれるとは限らない、 そう思って書くのは非常に大切なようです。 成績的にはとりあえず上3分の1には入っているようなので、 後は油断せず、きちんとやりたいと思います。 論証の仕方、論調、重要な間接事実の拾い上げ、 なぜそうなのか(理由)、だからどうなのか(評価)、 をきちんとやっていきたいと思います。 掲示板に書き込みがあったので、そのお返事です。 質問の趣旨は、 口述の時に履くスリッパはどんなものがいいのか、 スーツは黒か紺が多いようだが、グレーでも大丈夫か。 の2点です。 私が見た限り、ごく普通のスリッパが多かったように思います。 カラフルなピンクや赤とか、くまさんがプリントされてるとか、 そういうことはなかったように思います(^^)。 なので、あんまり目立たない色のスリッパを選べばよいのではないでしょうか。 で、スーツについてですが、 多いのはやはりリクルートスーツで、黒や紺が多いようです。 グレーの人も結構いたように思います。 ただまあ、そんなことは誰も気にしてません。 サラリーマンがグレーのスーツを着ていたところで 誰も文句を言わないように、まっとうな格好をしていれば 十分です。スーツであれば、なんの問題もないと思いますよ。 そういえば、ひとりだけ私服、ジーパンで来ていた方が いらっしゃった覚えがありますが、彼も無事に受かったそうです。 情報が不足していたのかもしれませんが、 ちょっと驚くにしても、そういうことで判断するようなものでも ないので、安心して良いと思います。 ついでにネクタイについてですが、 これもたいして見られていないと思うので、 もんのすごい派手なやつでなければ、なんでも良いと思いますよ。 ではではこの辺で。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年09月01日 22時51分38秒
[司法研修所前期・後期修習] カテゴリの最新記事
|