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Eastasian in peninsula.

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2007.10.15
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カテゴリ:活在半島
私は旅行に行く時、出来るだけその地方の伝説を調べていくようにしています。

これはもちろん研究のため、というのが大きいですが、その地方の伝説を知っておくと旅行がよりいっそう楽しくなるというのもあります。
地域の歴史などはガイドブックを見るだけでもある程度は分かりますし、日本国内でそれなりの観光地ならば解説版が立てられていることが多いですから、歴史や風土については自分で調べる必要はあまりない気がするんですよね。でも伝説や言い伝えなんかはよほど有名なものでなければ普通は紹介されていません。

しかしその伝説を知っておけば、その地方に住んでいる人々がその事物についてどんな風に捉えているか、という「心」の部分にちょっと近づける、気がするわけです。

まあね。下世話なことを言えば、口承文芸研究において伝説研究をいうのは神話や昔話に比べてまだまだ立ち遅れているので、そっち方面の研究者を目指すものとしては入り込む余地があるんじゃないか?という打算もありで。

まあ、そんなことはどっちでもいいですね。
資料は、崔仁鶴『朝鮮伝説集』。黒字は私の感想とちょっとした考察です。
それでは、いってみましょう、
「韓国慶尚北道・安東地方の伝説」

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1安東郡吉安面金谷洞「兄妹洞窟」
洞窟で雨宿りしていた兄妹は体を温めあおうと抱き合っていたが、次第に欲情が湧き上がり抑えきれなくなった。しかしそう感じた直後、洞窟の天井が崩れて圧死した。2人の死体は粉々になり、その血は川の水を赤く染めた。洞窟には天上が崩れた跡がある。


「洪水兄妹婚伝承」と関係があるそうな伝説。「洪水兄妹婚」とは「洪水が起こって兄妹だけが生き残り、二人が結婚して、また人類や民族が増えていく」という伝承です。でも、そこは儒教のお国柄、兄妹結婚なんてありえません。普通に天倫侵犯によって天罰がくだされ死亡。「死体が粉々になった」とか「血がたくさん流れ河が赤く染まった」なんて表現はまた別の神話を連想させますが、どうでしょう?近くに薬水が湧き出る泉があるらしいですが、何か関係があるのかもしれない。

2吉安面大谷洞「爺山」
600mほどの山。天気を予言できる占い師の老人が津波の来襲を予言するが、村人は誰も信じなかった。老人は一人で山に登り小屋を立てて祈祷し続けると、夏に本当に大雨が降って村は津波に没し山も沈んだが、老人の小屋だけは大丈夫だった。その後村ではこの山頂で婦女子が花煎遊びをして老人の予言を記念するようになった。またこの日の行事で大谷洞と龍渓洞の女達が口げんかをすると一年間は無事に過ごせるといわれている。


洪水の予言を信じない村人というモチーフは中国に良くある土地陥没伝承に近いですが、それで村人がどうなったかとか、どうやって村が再生したのかとかは語られていません。後半の伝説を記念する野外遊びについての記述も面白いですね。海と山の闘争が洪水や河の逆流の原因である、なんてのは中国江南地方にも伝わっている伝説ですが、ここに見える村人の喧嘩というのも関係あるのかも。でも婦女子が祭祀を行うのはなぜか?説明できません。

3緑田面元泉洞「ザンパリ」
高麗時代一人の金に汚い百姓が、妻が運んできた昼飯の味噌にたかったハエを殺そうと、妻と2人で追いかけ続け、山奥に入ってようやく殺したが、すでに日が暮れていたのでそこで一夜を過ごす。夢に山神霊が現れ、東に平野がありそこに移り住めば多子富貴を得られるというのでその通りにする。味噌のハエを追いかけてたどり着いたところであるから、構成の人々は味噌バエ=「ザンパリ」とその地を名付けた。


典型的な「動物の導きによる新天地発見」の伝承。台湾原住民の伝承では鹿とか犬。日本では烏とか。洋の東西を問わずたくさんある伝承ですが、ハエによる新天地の発見というのはみたことがないです。農村の起源を語る伝承だからでしょうか?ハエって、神聖性が極端に低いですね・・・

4吉安面グムソ洞「豚宰相」
朝鮮王朝期宰相張孫順にまつわる伝承。成宗が即位した時、この地方に暴風雨が生じ大きな山が生じた。その山は草花が多く天女のような姿をしており「錦花峰」と呼ばれたが、一匹の豚を抱いているようにも見えた。
三年後貧しい張老人の妻は60歳で男の子を生んだが、この子は豚のような顔をしていた。町の人々は気味悪がって殺そうとしたが、成宗はそれを許さなかった。孫順は驚異的な学習能力をみせ、みなの尊敬を集めた。しかし村で豚が殺される時は何日も病気で苦しんだ。
また結婚も心配ではあったが、地方長官から婿にもらいたいとの申し出が再三あった。夢に錦花峰の天女が現れそうしろといったとか。孫順はその地方長官の娘と結婚することになったが、寝室には腐ったにおいがし、豚小屋は香水の香がしたので、2人は豚小屋で初夜を過ごした。孫順は男女の子にめぐまれ、地方長官を経て、国の宰相にまで上り詰めた。


この安東地方の歴史的な位置づけとして、有名な学者や政治家を多く排出した土地柄である、というのがあります。だからそういう人物に関する伝承も多い。

初めの方、ちょっと滑稽なほど壮大な予兆ですねw
60歳で妊娠出産って、日本では観音とかの申し子譚になりそうですが、神に祈願する等のくだりはないですね。異類婚の変形かしら?韓国では豚の異類婚(苧環型)によって出生したと伝えられている偉人に新羅時代の学者・崔致遠がいますが、学者や大臣が異類であるという想像は共通しているのかも。しかしなぜ豚なのか?貶めて見ている可能性もありますが、伝承中には「尊敬された」等の表現もある。
韓国人の豚に対するイメージというのはどうなっているんでしょうね?対日本人専用の罵倒語「チョッパリ」は「豚の足」という意味があるのですが・・・

5安東市東門洞「李退渓の話」
李退渓の弟子に月川というものがいたが、酒屋の娘に懸想されて困っていた。それを聞いた李退渓は急いでその娘を呼びにやらせたが、既に死んでいた。娘の怨霊は蛇になり、月川にまきついた。李退渓は「蛇の口から玉を取り出し、天を仰ぎ地を見下ろした後に飲み込むように」と言ったが、月川は地を見てすぐに飲み込んでしまった。蛇は消えたが、月川は地上の理致は知ることが出来たが、天の理致は知ることが出来なかった。
月川が死んだ後、怨霊になった蛇は月川の碑石にまとわり付き、今もその跡が残っている。


こちらも安東出身の有名人に関する伝承。李退渓は朝鮮時代の有名な学者で、1000w札にもなってます。
まあ伝承自体はその弟子の話ですね。能で有名な「道成寺」の安珍・清姫伝説と同話型ですね。李退渓による指示で天地の理を知るというのは後付にも思えます。日本の安珍・清姫伝説では2人は法華経の功徳によって成仏しますが、ここでは死んで墓に入った男になおも執着する女の「恨」が語られています。ずっと前にも書いたことがありますが、韓国女性の「恨」というのは、日本女性のそれより何倍も男たちに恐れられていたのですよ。

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長くなったので続きはまた明日。





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最終更新日  2007.10.17 12:06:05
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