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環境・平和・山・世相 コジローのあれこれ風信帖

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2007年06月27日
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カテゴリ:環境

以下は、ある有機農業関係の団体の機関誌の求めに応じて出稿した文章です。ブログの制限字数を超えますので2部に分けました。  

今ここにある危機=地球温暖化と有機農業(前編)

 

■2007年という年

 「カラスの鳴かない日はあっても、地球温暖化が論じられない日はない」…といった頻度で、気候変動とその対策を巡る話題が、毎日のようにメディアを賑わせている。ドイツの海浜保養地ハイリゲンダムで開かれたサミットでも、温室効果ガス(以下GHGと表記)の削減が中心議題の一つとして取り上げられた。

 長く環境問題に取り組んできた人たちにはまさに隔世の感...といったところだろうが、世界がこうなったには、もちろんそれなりの理由がある。地球温暖化への対処について今年2007年からの数年は、将来から振り返って(人類が幸運にもその将来まで長く生き延びられたとしての話だが…)、まさに人類史の転換点として記録される可能性がある時期だからだ。

 現在の地球温暖化現象を招いた責任がある世界の先進国が、二酸化炭素をはじめ6種のGHG削減で合意した京都議定書について、その目標達成の期限である第一約束期間は来年から始まる。各締約国は2008年から12年まで5年間のGHG排出実績の平均値でそれぞれの削減目標をクリアしなければならない。

つまり今年07年は、京都議定書から脱走した米国と豪州を除く世界の先進国が、地球温暖化を食い止めるにはあまりにささやかな目標ながら、ともあれ本気でGHG削減のハードルに挑む助走が最高速に達する年に当たるわけだ。なお、周知の通り日本は同議定書で1990年比6%のGHG削減を公約しているが、現状は逆に約8%増加しており、国際公約の履行が危ぶまれる事態となっている。

 ともあれ、京都議定書で成立した合意が検証段階に入れば、当然のことながら次の段階、2012年以降の温暖化対策の国際スキームをどうするかが問題になる。国益が複雑に絡むためこの新たなスキームの合意に5年程度は要すると見られるため、京都議定書後も空白なく世界が温暖化対策に共同して取り組むためには、今年か遅くとも来年中にはその交渉がスタートしなければならない。前述のサミットも、そうした時代のひと幕のエピソードだったわけだが、これに間に合わせるように、今後の議論のベースとなる最新の科学的データも次々に公開されている。

IPCC第4次評価報告書

 そのさきがけは昨年秋に発表された英国財務省のスターンレビューだが、本稿ではこれに詳しく立ち入る紙幅はないので紹介のみにしておくとして、メディアを通じ一般にも比較的よく知られているのはIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change = 気候変動に関する政府間パネル)第4次評価報告書の深刻な報告内容だろう。

 IPCCは1988年、WMO(世界気象機関)とUNEP(国連環境計画)が合同で設立した国連の機構だ。90年から発表された第1次評価報告書は92年にリオデジャネイロで開かれた地球サミットで「気候変動枠組み条約」に結実し、95年の第2次評価報告書は97年の京都議定書に結実したといえる。つまり、球温暖化を巡る世界共同の取り組みに科学的根拠を与える役割を果たしてきた国際組織がIPCCだ。

 そのIPCCは5年に一度のペースで三つの作業部会ごとに報告書を作成しており、第1作業部会が「気候システム及び気候変化の自然科学的根拠の評価」、第2作業部会が「気候変化による社会経済及び自然システムへの影響の評価」、そして第3作業部会が「温室効果ガス削減など気候変化緩和オプションの評価」をそれぞれ分担、世界約160ヵ国の国籍を持つ約4000人の科学者が共同で報告書の作成に携わっている。

 今年07年は第4次評価報告の年で、1月の第1作業部会報告から始まり、4月には第2、そして5月のゴールデンウイーク中に第3の各作業部会の報告(いずれも政策決定者向け要約)が発表された。これらを受けてさらに11月にはバレンシアで総会が開かれ、統合報告書がまとめあげられる。

 この膨大な報告の内容すべてをここに紹介することはもちろんできないが、例えば同報告は、地球の気象システムが現に温暖化していると断定するとともに、この原因が人為起源のGHGにあるとほぼ結論づけたうえ、現状のまま推移すれば今世紀末には前世紀末に比べ最悪6.4℃の破滅的な温暖化を招くと予測、また今すぐどのような対策を取ったとしても2030年まで10年ごとに0.2℃ずつの温暖化は避けられず、この勢いは将来、実に千年のオーダーで温暖化や海水面上昇を促進することを示唆した。(第1作業部会報告)

 仮に全球平均気温の上昇が1.5~2.5℃超といった温暖化レベルですら、これまでに人類が知り得た動植物種のうち20~30%が絶滅に瀕し、珊瑚礁や極地、高山などの脆弱な生態系は壊滅する恐れが高いという。また年々の洪水被害人口は数百万人のオーダーで増え、水不足や食料不足に苦しむ人々は億人の単位で激増する等々(第2作業部会報告)  

 IPCCは科学者の集まりであることから、そのレポートには科学的に厳密に評価して確実な情報だけが選択されたうえ極めて慎重な言葉づかいで控えめに表現されており、読んでいてもどかしい印象を受ける。また、科学は決して政治から独立した存在ではなく、各科学者は常に出身国の政治権力からのプレッシャーに晒されていることから、評価報告の内容にはその政治的圧力を念頭に読み解かねばならぬ部分も少なくない。つまり、現実の温暖化現象は恐らく、IPCCの予測よりさらに早く、またさらに深刻に現象すると考えた方が良い。しかし、そうであってすらなお、これまでに発表された第4次評価報告書の内容は、かくも衝撃的だった。






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最終更新日  2007年06月27日 11時09分49秒
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