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カテゴリ:環境
27日、EUの執行機関である欧州委員会は地球温暖化対策の進行状況を発表。京都議定書で約束した1990年比8%の温室効果ガス削減目標について、2010年までに7.4%を達成、さらに第1約束期間が終わる2012年までに4.0%の削減量追加が可能で、目標を十分超過達成できる見通しであることを明らかにした。 さらにこちらも同じ27日のことだ、農水省は、温室効果ガス削減への京都議定書後の新たな国際スキーム作りをにらみ、農地がCO2の吸収源として認められるよう、提案の根拠となる調査研究を本格化させると発表した。 これらの取り組みをどう評価するかだが、まずEUについては、京都議定書で決まった目標自体が甘めだったため達成は当然視されていたことを指摘しておかねばならない。周知のように削減目標はEUが8%日本が6%で、一見EUの方が大変そうだが、実は基準年となる90年の排出量には恐ろしくエネルギー非効率な東欧旧社会主義陣営の排出分がカウントされていたから、まあ現代の平均レベルの技術をこれらの国々に導入するだけでも目標は手の届くところにあった。 つまりEUは、国別目標ではなく地域バスケットというか、これら東欧もダンゴにした共同実施を前提に京都会議冒頭から15%削減という大胆な目標を提起して同会議を終始リード、これを武器に削減目標設定時の政治折衝でも常に優位に立ち、結果として当初示した目標の約半分という明らかに達成容易な目標を認めさせたわけだ。 一方、経産省が提案する「エネルギー革新技術計画」は、まあ、それも実効ある省エネ対策で目一杯がんばった上で、なお人的資金的に余裕があるならやってもいいとは思うけれど、実用化できるかどうかわからない技術に地球の未来を託すのは危なすぎる。はっきり言うが、現状ではこれは、炭素税を課すとか、非効率な石炭火力を廃止させるとか、せめて石炭から天然ガスに燃料転換させるとか、産業界に多少は痛みがあっても温室効果ガス削減に速効のある政策を避けるための方便にすぎない。「産業界代表らで作る有識者会議」が承認したのは当たり前である。 もうひとつ、農水省の調査研究は森林吸収の二番煎じだ。やりようによっては農地が炭素の吸収源になることはありえるだろうが、森林と同様、トータルで見れば森林も農地も海洋も炭素収支はプラスマイナスゼロで循環している。だいたい森林吸収分のカウントを京都議定書目標の達成手段に認めたこと自体が政治的駆け引きと妥協の産物で、科学的根拠など元々ないのだ。・・・んなもん、さらに増やしてどうするつもりか。そのうち、日本領海の吸収量が・・・なんて言い出すんじゃないだろうな。(^^;) あくまで、地球の環境容量に過ぎたる人為排出を減らすことこそが問題の焦点なのだ。その焦点をごまかす対策は、いくら言葉で取り繕おうが科学的粉飾を施そうが、正面の困難な課題を避ける日和見かないしは欺瞞的隠れ蓑に過ぎないことを、環境を考える市民は銘記しておきたい。
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