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カテゴリ:環境
気候変動枠組み条約第13回締約国会議(COP13・MOP3)が開かれているバリでは、コジローがこのブログでも表明した懸念どおりの事態が進展している。懸念とは、日本政府の京都議定書母国にあるまじき言動だ。 現地からの報告(本記事末尾参照)によれば4日、バリに集結した国際環境NGO(非政府組織)の投票により、日本が化石賞の1位から3位までを独占した。この賞は、気候変動への合理的対策を妨害する古い思考という意味を込め、その日の交渉を妨害した発言ワースト3の国に授与されており、会期中の毎日、各国NGOが集まって投票し決定している。2000年開催のCOP5で設けられて以来、1位から3位までの化石的暴言を一国で独占するのは、アメリカとサウジアラビアに次ぐ「快挙」だ。 1位は、この3日のCOPMOP(締約国かつ削減義務先進国の会合)のプレナリー(総会)で次期枠組みに法的拘束力を持たせない(つまり温室効果ガスの削減義務を負わせない)と取られる日本の提案、2位の理由は、京都議定書の母国が自ら同議定書10周年を冒涜しようとしていること、そして第3位の理由は、途上国への「技術移転」についての議題の採択を妨害したことだ(これはアメリカ、カナダと共同受賞)。 あの頑迷だったオーストラリアが京都議定書批准に舵を切ってバリに乗り込み、万雷の拍手で迎えられたことはすでに書いた。世界の名だたる独占企業150社が共同で、法的拘束力を持つ高い削減目標を定めるべきと提言したこともこのブログで紹介した(日本の大企業はこれへの参加をきっぱり拒否!)。世界に暗い影を落としていたアメリカの薮(ブッシュ)はあと1年で確実に枯れ果て、その跡を継ぐのが誰であれ最悪だった薮よりはるかにマシになることは間違いない。 ますます深刻化する全人類の危機を前に、世界はたしかに変わりつつある。そうしたなかで、「美しい星50」などと温室効果ガス削減の音頭を取っているように装いながら(これには誰も反対しない)自分が何をするかは語らず、10年前の京都議定書の到達点すら葬り去ろうとする日本の姿勢はバリでいま、まさに化石と呼ぶにふさわしい障害物として際だっている。 思い起こせば・・という話になってしまうのだが、京都議定書は、いま日本がバリで展開している論理、つまり京都会議以前の気候変動枠組み条約のスキームであった「プレッジ&レビュー方式」(各国が自由に目標を設定して努力する方式)が、温室効果ガス削減に全く無力であったことが明らかになるなかで、激しい論争を経た末に「法的拘束力を持つ削減目標」の合意にこぎ着け、ようやく世界が協働して破滅に立ち向かう方向に踏み出す偉大な成果だったのだ。日本のバリでの発言はこの人類史的な到達点を無に帰することを意味する。化石三冠王と揶揄されるのも、残念ながら仕方がないだろう。 バリの会議はまだ7日間の会期を残している。日本政府がこの会期中に自発的に化石から脱却することは望み薄だが、世界の多数派は京都議定書の枠組みを踏襲することで合意しており、人類の生存への希望はもちろんここにある。その希望に向かって私たち、日本で地球温暖化対策に取り組む市民に課せられた最大の使命は、この世界のお荷物というか障害というか、頑迷な化石を一刻も早く何とかすることだ。ん~なんとやりがいのある仕事だろう! うれしすぎて涙が出る。(^^;) なお、COP13の現地からのナマレポートは、以下を参照されたい。 地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)「COPMOP3通信」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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