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カテゴリ:環境
バリで開かれていたCOP13は2013年以降の地球温暖化対策の枠組み作りに至る交渉の行程表=バリロードマップを採択して閉幕した。まだロードマップの本文を入手していないので詳しいことは言えないが、最大の焦点であった温室効果ガス削減についての先進国の数値目標は、結局盛り込まれなかった等と報道されている。 IPCC第4次評価報告書は、破局的な温暖化を避けるためには、その原因である人為起源の温室効果ガス排出について2020年頃までには排出のピークを越え、そこから減少方向に転じさせて2050年には2000年比で半減させる必要があるとしている。今議論になっている2013年のスタートから世界規模で減少に転じさせる必要がある2020年まではたった7年、2500日ほどしかない。 人類に残された時間は長くはないのだ。だから、バリ会議では最初から大胆な数値目標を掲げて世界が団結して進むようなロードマップを採択してほしかった。しかし、交渉は相手あってのことだ。世界最大の温室効果ガス排出国アメリカが唯我独尊の「ゼニゲバ帝国主義」(あえて言う)であり続ける間は、温暖化阻止に最も効果的なロードマップの採択は元々非常に困難だった。 EUは百戦錬磨のネゴシエーターだ。そんなこと百も承知のうえであえて強行に数値目標にこだわり続けたのだろう。結果は、アメリカの顔を立てて数値目標自体は取り下げたものの、先に書いたIPCCが示した科学的見解の文言をそのまま取り込み、EUの顔も立てた。コジローも落としどころはこのあたりしかないと思っていたが、ま、権謀術数渦巻く国際交渉とはこうしたモノだ。 この結果、2013年以後の枠組み作りには米国も中国も加わることになり、その交渉過程ではこのIPCCの科学的見解が尊重されることになった。これは大きな成果だ。もちろん前途は多難だが、とりあえずEUはしたたかに「名を捨てて実を取った」と言えると思う。 バリが終わった今日2007年12月15日から2009年12月31日まで、生き残れるか否かをかけて人類の英知が問われる747日が始まる。この短い時間の間に世界を合意させる可能性は、それぞれの国、特にいま温室効果ガス削減に熱心ではない国の政治を変えることができるかどうかに懸かっている。わけても、COP13の会期中を通して「化石」の名を欲しいままにした米国と日本の姿勢を変えさせることは決定的だ。 ノーベル賞受賞後バリに直行したゴアは、米国が世界の障害になっていることをわびつつ、「政府は再生可能な資源だ」と喝破した。世界のそして日本の市民運動は、政府を再生し世界を変える力を持ちうるだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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