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環境・平和・山・世相 コジローのあれこれ風信帖

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2012年10月03日
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テーマ:ニュース(99587)
カテゴリ:社会

 昨日2日、ある集まりの打ち上げとなる酒席で「マグロのカルパッチョ」がテーブルに出た。それを見たコジローの友人が「怖いけど・・」と漏らしたので、つい反射的に「怖くないッ」とその場で即座に否定して、瞬間、座が白け、ちょっと申し訳ない思いをしたのだが、これについて少し突っ込んで検証してみる。いうまでもないが、このときの「怖い」「怖くない」はマグロの放射能汚染についての感じ方だ。 で、このブログにつけたタイトルなのだけど、「シーベルと」は「調べると」の「ふりがな」表記のもじりと察してくれたらうれしいんだけどなぁ・・・、ま、無理にとは言いませんが・・・(^_^;)

 ただ、その検証の前に二つだけ断っておくことがある。まず、コジローは原子力や放射能についてはズブの素人の文科系人間で、これらについては高校物理程度の知識しかない。地球温暖化問題に取り組む市民センターの代表という立場から、原発に代わるエネルギーなどについて話す機会が多く、必要に迫られて原発周辺の事情についても相当勉強はしてきたつもりだが、門外漢であることに違いはない。だから、以下の検証はその程度の知識での試算にすぎないので、間違いがあれば指摘していただけるとありがたい。  

 もう1点、結論から言えばコジロー、マグロのカルパッチョの放射能はぜ~んぜん怖くないが、マグロの絶滅については深い焦燥感を伴って「怖い」と思っている。店員に確認したところ、くだんのカルパッチョに使用されたマグロの種類はヨコワという。ご存じかと思うが、ヨコワはクロマグロの関西における幼名だ。

 クロマグロは6歳くらいで成熟し100kg近くになるが、ヨコワはその1歳魚で3kg程度にすぎない。つまり、人間でいえばせいぜい2~3歳の幼児を食ってる感じなのだ。繁殖能力を獲得する前の幼魚をこんなに乱獲してクロマグロ資源が枯渇しないはずはない。いや「資源」などというのは人間の思い上がりなのであって、こんな無茶を続けていれば海洋生態系は遠からず崩壊してしまうのではないか。それが心底怖いと思うのだ。

 ウナギはすでに絶滅が危惧される種となり、大西洋のクロマグロもワシントン条約で商業取引が禁じられようとしている。危機はまさに目の前にあるのだ。今回のテーマからは外れるのでまた次の機会にでも詳しく取り上げたいが、関心のある向きは、三重大准教授の勝川俊雄さんが書かれた『漁業という日本の問題』を読まれるか、そのテーマでのインタビュー記事を参照されることを強くおすすめする。背筋がひやっと冷たくなるような思いをするはずだ。

 さて、ここから元に戻ってカルパッチョの放射能の話だ。まず、ヨコワにどの程度放射性物質が含まれているかを調べてみる。食品全般について、放射性物質の検査が広範に行われているが、水産物については水産庁のサイト内の「水産物の放射性物質調査の結果について」のページに測定データが随時更新されているので、ここから入る。

 で、またあらかじめお断りだが、この種のデータが信用できないという人がいる。サンプリングの仕方や検査方法については、「水産物の放射性物質検査の基本方針」で公開されているのでご確認のうえご意見をいただきたいのだが、そんなレベルじゃなく、お上のすることは方法も人間も信用できないしデータはねつ造かもしれないという。こうなればもうお手上げで科学的な議論は成立せず、ただ断片的な情報から得た印象を言い合う神学論争になってしまう。だが、全都道府県の技術者も大勢参加して積み上げているこの膨大な分量のデータを日々ねつ造し、そうした不正行為がどこからも誰からも永遠に漏れないようにするなど果たして可能だろうか。

 この種の陰謀論を唱える人たちに共通するのは、政府なり国家権力なりが、巨大な陰謀を展開しその証拠をかけらも残さない、まるで神の如き全能の力を有すると仮定することだ。たしかに、そうでなければ壮大な陰謀は成立しない。だが、なんのなんの、「原子力ムラ」と揶揄されるこの国の支配的エスタブリッシュメントたちが、あの福島原発事故でどれほど狼狽しパニックに陥り、いかに無能かつ無力だったかを思い起こせば、そんな神通力など備えていないことは一目瞭然ではないか。陰謀論は、当の陰謀の仕掛け人と目される人々を天まで高く持ち上げている点だけでもすでに破綻している。

 

                                    2に続く

 

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最終更新日  2012年10月04日 07時35分04秒
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