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カテゴリ:笑左衛門 残日録
笑左衛門残日録 58 ~老衰を 嘲り笑う 鴉かな~ 久々に住職の遊雲和尚の話が聞きたくなり深川の常泉寺という寺へ足を延ばした。 相変わらず、年寄りたちが本堂の床にてんでばらばらに座って勝手に酒を飲むという風であるがなぜか拙者も安心できる場所であったのだ。 同病相憐れむとでもいえばよいのか、 愚痴を言い、病気自慢、薬自慢、孫自慢、愚痴も言いながら酒を飲んでいる。 住職の遊雲和尚が皆の話を聞いていて口を開いた。 「皆さん、浮世絵師の歌川国芳が描いた面白い絵『田家茶話六老之図』 に書かれている、尾張藩士・横井也有の老人の老いを風刺した咏老狂歌が面白いのじゃよ、、 ちょうど、今夜のみなさんの会話のようじゃ、、」 ~しわが寄る ほくろができる 背はちぢむ 頭ははげる 毛は白くなる~ ~手はふるふ 足はよろつく 歯は抜ける 耳は 聞こえず 目はうとうなる~ ~身におふは 頭巾えり巻き 杖眼鏡 たんぽ温石 しびん孫の手~ ~よだたらす 目しるはたえず鼻たらす とりはずしては小便もする~ ~くどうなる 気みじかになる 愚痴になる 心はひがむ 身は古くなる~ ~聞きたがる 死にとうながる 淋しがる 出しゃばりたがる 世話をしたがる~ ~又しても おなじ話に 子をほめる 達者自慢に 人はいやがる~ 「どうじゃ、皆の衆のことのようじゃろう、だがな、 だがな、それでよいのじゃ、年を取るということはそういうことなのじゃ、 赤子が機嫌が悪いと泣き喚くこととおんなじじゃ、 気にすることもない、酒を飲んで愉快に過ごせばよいのじゃ、、」 ~いい頃を みんな忘れて 愚痴を言い~ 拙作 笑左衛門
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最終更新日
2023年03月26日 10時30分07秒
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