カテゴリ:70年代女性ソロ
ミリアム・バックハウスのたぶん唯一のソロ。 弦に導かれ歌う1、ブライアン・エサリッジと無伴奏多重シンギングを繰り広げる2と初っ端からマイナー節が炸裂してます。 スティーライ・スパンやマーティン・カーシーも演奏している4はダルシマーの響きがたまらないし、アメリカ民謡の7はジョーン・バエズがギター1本で綴っているような素朴さがあって(実際J・バエズはデビュー作でこの曲を取り上げているんだけどね)、全体的に物悲しさを漂わせたアルバムです。 一般的な知名度は低いけど、うらぶれ音楽が大好きな日本人の肌には結構合うと思うな。 中にはコメディタッチで歌う曲(5)も入っていて、表現力ある歌い手さんだなあと思ったりもします。だって声質が別人なんだもんね。かわいくウフフと笑う声も入っているんだけどこれだけやけに浮いているということはなく、むしろ周りの切ない楽曲群に溶け込んでいるからすごい。 微妙に蓄膿な歌声は気取りがなくとても親しみやすいもので、いかにも「私は歌手です!」なオーラを纏っていないのもマル。 地味というよりはさりげないイメージかな。適度に抑えられた伴奏がミリアムの朴訥さを活かしていて、万人が諸手を挙げて騒ぐようなアルバムじゃないけど「これに匹敵する女性シンガーものは存在するのかぁ!?」と鬼名盤扱いする人もいそうな気がします。 かくいう私は鬼とまではいかないけどわりと気に入ってます。100点満点中80点台前半ってとこかな。 次号、77年シリーズの最後にスプリガンズを登場させる理由は8をスプリガンズ・オブ・トルガスが演奏していたから。 メロディは両バージョンとも一緒だけど、ミリアムのはナイロン弦ギターとストリングベースのみで歌うシンプルなアレンジ。ダルシマー入りのスプリガンズ・オブ・トルガスのバージョンはどちらかというと4に近い雰囲気ですね。 あ、メロトロンは3にしか入ってないです。 …と最後の最後にメロトロン信者の希望を打ち砕くようなことを言ってみる。 ●4:マーティン・カーシー&デイヴ・スウォブリック「バット・トゥ・ケイム・バイ」(68) スティーライ・スパン「コモナーズ・クラウン」(75) ●8:スプリガンズ・オブ・トルガス「ジャック・ウィズ・ア・フェザー」(75) 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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