カテゴリ:音楽/その他
続き。 山 なるほどね~。とにかくピンク・フロイドのリック・ライトはそうでもなかったですけども、さっきの重いって話になりますけど、キーボード積み重ねるっていうのもプログレの特徴ですよね。 岩 そうですね。どうして積み重ねるかって言うと、当時はキーボードは1台に1個しか音が出なかったんですよね。だから今のように… 山 シンセサイザーがね。単音のシンセでしたから。 岩 単音しかない。だからドレミファとか、そういうものしか。で、1つの楽器に1個しか音出ないものですから、たくさん使おうとするとたくさん積まなきゃいけなかったんですね。 森 そういうことだったんですか。 岩 リック・ウェイクマンは一体何台…10台ぐらい積んでたという。 山 積んでましたね。 岩 その風景もプログレなんですよね。 山 囲まれてますからね。ブースみたいになってるっていう。キーボードが囲んでますからね。リック・ウェイクマンの何かちょっと聴いてみましょうかね。代表何がお勧めですか岩本さん? 岩 じゃあリック・ウェイクマンのソロからちょっと聴いてみましょうか。 山 はい。 05. Catharine Of Aragon(邦題:アラゴンのキャサリン) / RICK WAKEMAN ![]() 山 リック・ウェイクマン「ヘンリー8世と6人の妻」でした。 岩 “アラゴンのキャサリン”ですね。 山 一番最初の曲ですよね。 岩 聴いてもらってもわかるように、これ最初にオルガンが入ってピアノが入ってモーグ・シンセサイザーがあって。バックはメロトロンっていう機械ですね。 山 テープでやってる。これテープが伸びるから微妙にピッチが不安定になってくるんですね。 岩 そうなんですね。 山 これがデジタルで再現できない。 岩 もうそのなんて言うか、ラーメンをすするような音がね、これがいいんですよ。しゅるしゅるっていう。 山 立ち上がりがね、ちょっと時間がかかる。んむぅ~~~って。 岩 もうアナログでしか出ない音ですね。これはやっぱり当時の。 森 この当時ならではという。 岩 ならではですね。 山 懐かしいですね、この「ヘンリー8世と6人の妻」って。去年このプログレ三昧でキング・クリムゾンの完全コピーやりましたでしょ。アルタード・ステイツの。あの時キーボード弾いてた岡本洋っていう私の同級生が高校の文化祭でこれやったなんて、今懐かしく思い出しましたけども。 森 やっぱり長髪でマントを着てやったんでしょうか? 山 マント着てなかったですけどね。 森 着てなかったですか。今までのお話からしますとプログレって難しい音楽なのかな、っていう感じもしますけど、当時はもっとなんかこう一般的だったというか。 山 いや普通でしたよね。さっき言いましたようにオリコンのアルバムチャートでピンク・フロイドの「狂気」が1位になってるわけですから。ミュージック・ライフやなんかのアーティスト人気投票でドラム部門は常にカール・パーマー1位ですから。 岩 そうなんですよ。 山 まあ、みんなが聴いてるとまでは言わないけれども、洋楽の中では結構メジャーでしたよね。 岩 そうでしたね。世界的にもそうでしたね。 森 チャートにも本当に入ってましたよね。 岩 もうイエスとかELPとか、本当に入ってましたね。 山 ムーディー・ブルースをプログレと呼ぶならば、もうバリバリに“サテンの夜”とか、バリバリにヒットしてましたもんね。 岩 そうですね。本当にムーディーはアルバム全部売れたって言ってもいいんじゃないでしょうかね。 山 日本でもね、キング・クリムゾンの“エピタフ”なんかはザ・ピーナッツから西條秀樹からフォー・リーブスまでコピーしてますしね。 岩 やってますね。 山 あいざき進也というアイドルが“21世紀の精神異常者”をコピーしてますしね。 岩 そうですね。やってますね。 山 だからそんな意味ではメジャーだったと。 岩 メジャーだったんですよ。 森 で、いろんなところにまた影響…当時のメインストリームに影響を与えてますよね。 岩 やっぱりそういう音を聴いて、そうじゃない人たちっていうのはおかしいけど、プログレッシヴ・ロックではなく普通のやってた人達も影響を受けて、やっぱり俺たちもやってみようか、という流れというのが実はあったんです。プログレの要素っていうのはほかのバンド、ハード・ロックやポップ・スターもプログレ的なことやってるんですよね。 山 例えば? 岩 そういうところからいくつか聴いてみたいと思うんですけども。 山 はい。 06. The Song Remains the Same(邦題:永遠の詩) / LED ZEPPELIN ![]() 07. Love in Song(邦題:歌に愛をこめて) / WINGS ![]() 08. Funeral For A Friend(邦題:葬送) / ELTON JOHN ![]() 森 今おかけした曲はツェッペリン「聖なる館」から… 岩 “永遠の詩”。それからウィングス「ヴィーナス&マース」から“歌に愛をこめて”、エルトン・ジョンの「黄昏のレンガ路」の“葬送”という曲ですね。みんな73年から75年のアルバムなんですけども、どっか…聴いていただけるとわかるようにプログレっぽいんですよ。 山 ぽいっちゃぽいですよね。 森 本当に。 岩 こんなことやってたの?っていうですね。 山 影響を受けてたわけですね。 岩 そうですね。知らないうちに影響を受けてたというですね。 山 ビートルズはあそこで解散してなければ「ホワイト・アルバム」とか「アビー・ロード」の流れ見ると。 岩 そうですね。 山 やってたかなという感じはありますよね。 岩 なんか「アビー・ロード」のB面あたりからつながっていくともう1枚アルバム出していたら、シンフォニックなものになっていたんじゃないかなと。想像しますよね。 山 ありますよね。 森 それと本当に当時随分こう広がりもあったんですよね。 山 そうですね。特にマニアックじゃなかったということですよね、岩本さんね。 岩 そうですね。イギリスとかアメリカとかそういう話をしているんですけども、プログレの特徴ってのはですね、世界各国に広がっていくという。特にそういうコンセプトがですね、世界的にこう、いろんなバンドに受け入れられていったんですけどね。例えばイタリアなんかではジェネシスとかヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーターとかジェントル・ジャイアントとかもの凄く人気がありましたし、ハード・ロックとかメタルの世界、そういうところにもドラマチックなものが取り入れられていって、ストーリー性、ま、ストーリーテリングを重視したアルバムとかサウンドが出ていったんですよね。世界のプログレについては別のコーナーでも触れてみたいと思うんですけども。 山 確かにね。いわゆるコンセプト・アルバムと呼ばれるね、テーマのあるアルバムっていうのがよく出たりなんかもしましたけどね。 岩 そうですね、はい。 山 長い・重い・巧いというね、岩本さんのプログレ三位一体説の講義。ひとまずここでまとまりましたね。 森 はい、ありがとうございました。 森 ラジオ教養講座「プログレッシヴ・ロックの傾向と発展」。岩本晃市郎先生の講義でお送りしました。 続く。
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