以前にあるゲームの移植の仕事をしたことがあるのですが、これが大変で・・・
移植っていうと、どうしてもユーザーにとっては「データは最初からそろっているんだし、見本があるんだから楽なんだろう、むしろ完全移植で当然」と思われがちですが、いやはや、実際ひどいことになりがちです。
なにしろ過去のデータ、しかもハード構成もツールも当時と違っている上、同じ社内であっても当時開発した人がいない事が多く(出入りの激しい業界のため)仕様などもきっちり残っていない。私の関わったソフトは1世代前のハードのローンチタイトルで、すでに6年ぐらい前の作品であり、ソースの解析から大変で。
また、「移植なんだから簡単だろ」という意識は上の人にも定着しているらしく、少ない予算(人数)だったり無茶なスケジュールだったり。その上、単に今のハードで当時のゲームを再現するだけでも大変なのに、新たな追加要素を加える、なんてことになると更に大変な事に。
で、市場に出回った評価は「完全移植で当然」「昔すでに売ったゲーム」というのがユーザーの視線ですから、正直あまり売れないことも多い。
安く作って手っ取り早く利益を回収しよう、という目論見が、ふたを開けてみたら当時の開発者がかなり特殊な作りをしていたため、大変な事になるのもよくあるケースです。また、コアなタイトルになるほどユーザーの思い入れ補正ややりこみ度も入っているので「ここがちがう!」という不満も出やすい。
ゲームの移植の苦労はあんまり報われない、というお話。
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