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カテゴリ:農業情報
11月1日(月) NHKクローズアップ現代「微生物とつながる農業」で、「エンドファイト」についての放送があった。 農薬や化学肥料を使わないで、エンドファイトという自然界の微生物を利用することで、人類のみならず、地球環境にとっても未来の夢の農業と捉えられると言う構成だ。 ファーマータナカも一農業者の端くれとして、無農薬・無化学肥料で営農の可能性があるのなら、今すぐにでも、喉から手が出る程欲しいと言うのが本音のところだ。 エンドファイトとは、生きている植物体の組織や細胞内で生活する生物のことだ。「中」を意味する「endo」と植物の「phyte」の合成語で、植物の体内に共生する多数の微生物の総称で、細菌類や菌類などの微生物はもちろんのこと、ヤドリギに代表される寄生植物まで含まれ、高級食材で有名なマツタケやトリュフなどの外生菌根菌もエンドファイトだそうだ。 一部の糸状菌エンドファイトは毒素をつくり、害虫に対して忌避効果を発揮する一方で、植物を食べる家畜には悪影響を及ぼすという。 ただNHKは時々こういう構成をやるが、今回もその流れから、エンドファイトは、オールマイティの絶対善的放送になっていると危惧を感じたのはファーマータナカだけだったろうか。 ます、この技術は、たくさんあるエンドファイトの中から特定のエンドファイトを抽出培養して、それを特定の植物に関与させるという事だ。 又特定の微生物だけが繁栄するような環境では、いずれその微生物の天敵が現れたり、病原菌が抵抗性を持つことになるだろう。 冒頭に市紹介されたリンゴの無農薬栽培で有名な青森県弘前市の木村秋則氏、本人は成功した秘訣は「自然の森と同じような土を再現したこと」と語っているのだが、弘前大学農業生命科学部の杉山修一教授は、木村氏のリンゴの木の葉から採種したエンドファイト(植物内生菌類)は、従来の栽培方法よりも2倍も多い種類が検出されとして、これが何らかの形で病気に強くなる原因なのではないかということだった。 しかし視聴者は、木村氏の奇跡のリンゴはエンドファイトによって(のみ)成り立っていると言っているように見えてしまう。 木村氏のリンゴの木には特別な抵抗力があり、又腐らないということだが、一方で、弱いながらも殺菌力のあるお酢の散布を頻繁に行っているということなので、病気や害虫への抵抗力は、そのへんも考慮すべきと思うがそういう情報はここでは当然ない。 大前提は農業が業であるということだ。 そのための方法として、品種改良、化学肥料、農薬、微生物農薬、遺伝子組換作物、あるいはそれらに対峙する方法として自然栽培等々の、更なる研究開発が望まれる。 エンドファイトも、将来それが、農業で有益な影響と効果をもたらすものであって欲しいが、有用微生物資源(例えば微生物農薬等)の研究及び実用化の一分野として、注視していくというところが妥当なところではないだろうか。 ハクサイ根内(皮層細胞内)に定着している根部エンドファイト (参考文献 現代農業2010年10月号) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010年11月09日 08時08分05秒
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