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佐遊李葉  -さゆりば-

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2008年08月12日
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カテゴリ:光明遍照
 だが、その頃には、駿河麻呂はもはやすっかり心を凍らせ、誰に何を言われようとまるで意に介さない態度を身につけていた。

 ただ、与えられた仕事をきちんとこなし、公麻呂を満足させるだけの実績を上げ、日々の糧を得られる程度の収入を得られればそれで良い。師匠への尊敬の強制や仲間同士のくだらぬ付き合いなど、真っ平御免だ。

 それに、駿河麻呂には妻も子もいない。もう三十歳も半ばを過ぎているというのに、一度も持ったことがないのだ。いや、持ちたいとも思わない。一人でいるのが一番自由で気楽だ。今までずっとそう思ってきた。

 だが、自分でも理解できないことに、駿河麻呂には時折どうしようもなく空しく、やるせない気持ちが襲ってくることがあった。まるで、胸を万力でぐいぐい押しつぶされていくような、重く耐え難いほどの痛みだ。

 さっき、黄昏の光に仄かに輝く毘盧遮那仏を見上げた時、その痛みがまたふいに駿河麻呂の胸に沸き上がってきた。それを無理に押さえて大仏殿を出て、今日はもう何も考えずに家で寝てしまおうと思ったのだが、痛みは次第に重さを増し凶暴なうねりとなって胸の中で暴れ狂おうとしている。

 そんな風に心がささくれ立って居たたまれなくなると、駿河麻呂の足が自然に向かってしまうある場所があった。

 駿河麻呂は一刻も早くそこへ辿り着こうと焦るように、土埃の上がる都大路を足早に駆け出していった。


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最終更新日  2008年08月12日 10時32分14秒
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