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佐遊李葉  -さゆりば-

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2015年12月13日
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カテゴリ:羅刹
 能季の胸の中では、美しい斉子女王の顔とおぞましい師実の顔とが、交互に渦巻いている。

 だが、だんだん師実の哀れな顔の方が、胸の中を占めるようになっていった。

 私のことを兄のように信頼している、師実の澄んだ瞳。

 どうしても、私には師実を見殺しにすることはできない。

 そう思った瞬間、能季の口は勝手に動いてしまっていた。

 頼通は既に目を輝かせ、能季の方へ詰め寄ってきている。

 もはや後戻りはできない。

 能季は観念したように目を閉じ、頼通に斉子女王のことを話した。

 当子内親王にそっくりな斉子女王なら、道雅は必ず興味を示す。その導きなら、きっと屋敷からおびき出すことができるだろうと。

 頼通はふいに能季の手を取って言った。

「道雅のこと、そなたに任せよう。私からの助力は惜しまぬ。小八条第の周りを見張らせている手の者たちも、そなたの自由に使ってよい。どうか、師実を救ってやってくれ」

 頼通は必死の面持ちで、能季の手を握り締める。

 その顔は父親らしい心配と熱意に溢れていたが、目の暗い底にはやはり冷たい光があった。

 頼通にとっては、斉子女王のことなどどうでも良いのだ。

 世間から忘れられた女王の一人や二人くらい、師実の命に較べれば塵(ちり)のようなもの。朝廷を平和裏に収めていくことを考えれば、大して重い犠牲ではない。

 そう考えているのは明らかだった。

 斉子女王は何としても私が守らねばならぬ。

 襲ってきた緊張と心痛に、能季は唇を噛み締めて頷いていた。



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最終更新日  2015年12月13日 14時19分00秒
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