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佐遊李葉  -さゆりば-

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2016年07月30日
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カテゴリ:羅刹
 能季は驚いて兵藤太の顔を見上げた。

 兵藤太が母の話をするのは初めてだった。

 それまでは能季が何を聞いても、美しい人だったとか、優しい方だったとか、ただ通り一遍のことを言うだけだったから。

 兵藤太は能季には目を向けずに、静かに話し続ける。

「私は若君の母上の乳母子(めのとご)として生まれ育ちました。ごく幼い時は、本当の兄妹だと思っていた。私は可愛らしい妹がいつも自慢で、あの方も私を兄と慕ってくれました。それが、いつの頃から変わってしまったのか」

 兵藤太の眉が苦渋に歪(ゆが)む。

「私は、いつしかあの方と一緒にいるのが苦しくなった。本当の兄妹ではない。でも、身分があまりにも違いすぎる。あの方にとっては、私は兄どころかただの家臣に過ぎないのだと。そうどれほど自分に言い聞かせても、あのお方を愛しく思う心を押し留めることができない。それがどれほど苦しかったか。いっそ、昔話の芥川(あくたがわ)の男のように、あのお方を背負って、どこか遠くへ逃げてしまおうかと、何度もそう決心しかけました。でも、私にはどうしてもできなかった。君恩あるあのお方の父君の藤原親時様を裏切ることはできない、乳母である我が母は私の不義を嘆いて命を絶つのではないかと」


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最終更新日  2016年07月30日 14時14分09秒
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