『ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと』3
図書館で『ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと』という本を、手にしたのです。ビジュアルな「とんぼの本」シリーズなので、絵本作家エンデを知るには最適ではないか♪この本には見覚えがあり借りるのは2度目になるなあと思ったが、ま いいだろうと借りた次第でおます。(帰って調べたら1年ほど前に借りていました)【ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと】池内紀, 小林エリカ著、新潮社、2013年刊<「BOOK」データベース>より『モモ』『はてしない物語』ほかファンタジー物語の傑作を残した作家エンデの人生、そして現代人に伝え続けたメッセージとは。待望のエンデ入門。<読む前の大使寸評>ビジュアルな「とんぼの本」シリーズなので、絵本作家エンデを知るには最適ではないか♪rakutenミヒャエル・エンデが教えてくれたことお金や時間に拘るエンデを、見てみましょう。p100~101<エンデが夢見た経済の姿:廣田裕之> エンデが今の経済制度の矛盾を最初に描いたのは、代表作『モモ』です。この中には「時間とはすなわち生活だからです」という一節がありますが、原文ではわずか三語のこの表現に、エンデの人生観が現れていると言えます。 人間はなにをするにも、時間が必要です。お金がなくても、公園を散歩したり、図書館で本を読んだり、また家庭菜園で穫れた作物を使って料理をしたりすることができますが、時間がなければどれも無理です。 時間こそが生活(あるいは人生や生涯)であり、その時間の効率化だけを考えると、やがて生活そのものが干からびてしまいます。 『モモ』では「灰色の男」により時間の節約を説得された床屋のフージー氏が時間の節約に励んだ結果、彼の生活は味気ないものになり、彼自身も怒りっぽくなってしまいました。 『オリーブの森で語りあう』の中でエンデは、スイスの経営者が集まる会議の場で自らこの一節を朗読したエピソードを披露します。その後、出席者に対して「百年後の未来像」について問いかけたのですが、「すくなくとも年三パーセント以上の成長がなければ、競争に生きのこれなくなり、経済的に破滅する」という発言をきっかけとして、エンデに対して攻撃する人が出てきたことから、この問いかけは失敗してしまいました。 『エンデと語る』では、「どうやって、この経済成長の強制から人間を自由にするか」という根本的な問題を問いかけています。 しかし、なぜ経営者はここまで経済成長にこだわるのでしょうか。その最大の理由は「金利」です。お金を借りたら元金だけでなく金利も支払わないといけませんが、この金利自体がネズミ算式に増えるため、これを返せるだけの経済成長が必要になるのです。 後述する『エンデの遺言』で登場するドイツの建築家であり補完通貨の研究者、マルグリット・ケネディは代表作『金利ともインフレとも無縁な貨幣』で、このような成長をガン細胞の成長に例えています。つまり今の経済はガン細胞のように果てしなく成長し、地球の資源を必然的に食い尽くすものである、と。 さらに、自分の借りたお金を返す形で直接的に、あるいは商品やサービスの購入を通じて間接的に金利を払うことから、ほとんどの人は収入が減る一方で、ごく一部の金持ちだけがより豊かになるという問題もあります。エンデの絵本をネットで見つけたので、見てみましょう。第149回/おとなしいきょうりゅうとうるさいちょうより お話は2部構成のような様相を呈しており、それが最後は重なりあうようなスタイルである。その第1幕はきょうりゅうのお話。不気味な石の塔があり、そこには口よ尻尾から火をふくきょうりゅうが住んでいた。そこに本をかかえたヒックス教授なる人物がやってきてきょうりゅうの研究を始めた。きょうりゅうはうっとおしくなり、教授を飲み込んでしまったが、本が消化しにくく、腹から本と教授を吐き出した。教授はケロッとして、1冊の本を置いて帰っていってしまった。そこには「火をはくきょうりゅうは、みんな、おとなしいきょうりゅうとよばれる」と書かれていた。それを目にしたきょうりゅうは愕然とした。 自分は恐ろしいきょうりゅうであり、決して「おとなしい」きょうりゅうなどではない!否定するために、きょうりゅうは暴れまくったが、やがてノイローゼのようになり、家に閉じこもってしまった。ここで、まず幕が閉じる。そして、ふたたび楽譜が描かれ、タイトルは「うるさいちょうのワルツ」となっている。そして第2幕が始まる。そこにはタキシード姿のヒゲをはやしたもんしろちょうがいて、もんしろちょうの少女とワルツを踊りまくっていた。もんしろちょうは、繊細でしとやかで、特にうるさい騒音には大いに腹を立てていた。そこへ、まるはなばちが飛んできて、もんしろちょうが「うるさいちょう」と呼ばれていることを告げる。『ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと』2:エンデ氏物語p76~77『ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと』1:INTRODUCTION