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カテゴリ:NY発信
最近の米メディアも軍もどうかしてる。
日本でも報道されていると思うが、今日のニューヨーク・ポスト紙でサダム・ホセインの下着姿が『Butcher of Sagdad』という見出しで一面を飾った。イギリスの大衆誌、サン紙も同じく『Tyrant's in his pants』(パンツ姿の暴君)という見出しを付けた。両紙ともルーパート・マードックというメディアの王様が持つ大衆新聞。大衆紙だからニューヨーク・タイムス紙やワシントン・ポスト紙のような新聞ではない。日本でいえばサンケイ新聞というところだろうか。 Butcherとは普通は肉屋を意味するが他にも虐殺者という意味もある。そしてSag(垂れる)という言葉をBagdadのBagにかけている。いかに人の目を引くヘッドラインとしては上手い表現だと思う。けれど、やはりコンテンツ、中身が問題だ。 その問題とは写真の出所。拘束の身柄のサダム・ホセインの写真を撮れるのはアメリカの軍部。最近もアメリカ女子兵士のイラク人捕虜虐待事件で判決が延期になったものの有罪を認めている。その時の捕虜たちの一糸まとわぬ写真が顔ナシやボカシで紙面を飾ったのはまだ記憶に新しい。 この一連の暴露写真はジュネーブ条約に反するのではないかという声もあがり、またアメリカ軍部内でもどこから流れ出たのか探しているようだ。けれど、何故か私にはセレブの裸の写真をパパラッチが追っているのと似てるような感じがするのだ。 低能化 この言葉がふと頭を過ぎった。大衆紙が低能化しているという事は、それを読む大衆が低能化しているということなのではないか? つい数日前のローカル・ニュースでは地下鉄に覗き魔カメラが設置してあるのが発覚されたというのを聞いた。ニューヨークの地下鉄は歩道に網のようにかかった部分があり、その下を地下鉄が走っている。ここを通る女性のスカートの中をカメラで捕らえようとしていたらしいけど、これってまさに日本の温泉で隠しカメラで撮るのと同じ真理。地下鉄関係者が設置したのではと捜索されているようだけれど、今までこんなニュースはアメリカで聞いた事が無い。 ニューヨークへ越してきた頃よく聞いたのが、 「ニューヨークは望遠鏡で覗く人がいるから気をつけた方がいいよ。」 けれども覗かれている方に当たる側も窓にはカーテンやブラインドがなかったり、ハダカでアパートの中をウロウロなんてことは普通のこと。男友達からも近所のアパートの若い女性のハダカを見た・・なんてことはよく聞く。電車の痴漢話は日本の方が断然多いけれど、最近ニューヨークでも痴漢にあったという話を聞いた事がある。 セレブのファッションが殆どハダカに近かったり、ハダカの写真がパパラッチに盗み撮りされ暴露されたり、受け取る大衆の心理が麻痺していきているのかもしれない。今まで保たれていたキリスト教に根付く道徳や倫理のが崩れて、全てがジャンクになるようなそんな恐怖感さえある。そんな時勢だからサダム・ホセインのパンツ姿は人々の記憶から直ぐ消え去っていくのだと思う。本当に心に焼きついて残るものはジャンクではない。 「ナショナル・ジオグラフィクと聞いて何を最初に思い浮かびますか?」 そんな質問をされたら、あなたは何と答えますか? そこにあの有名になった緑色の目をしたアフガンの少女の姿があるならば、そこにはジャンクではない、フォト・ジャーナリズムの真理が普遍だと証拠づけてくれる。私達にもジャンクとそうでないものを振り分けるEメールボックス機能のような目がますます必要になってきた。 メディアの低能化・・末恐ろしい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 21, 2005 05:32:25 AM
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