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カテゴリ:日々の読書(ミステリー)
伝統とは、単に古いものをありがたがって、後生大事にすればよいのであろうか。伝統と革新は相容れないものであろうか。そんなことはない。伝統の美名の上に胡坐をかき、停滞の中にまどろんでいるだけでは、やがては衰退の運命を免れないのだ。 「華の下にて」(内田康夫)は、伝統芸能の一つ華道をモチーフにした浅見光彦シリーズの旅情ミステリーである。今回の舞台は京都だ。 丹野奈緒は、京都の丹生流生花家元の家に生まれた、才能豊かな高校一年生の少女である。彼女は、なぜか、もっとも先鋭的な現代華道と言われる日生会の創始者・牧原の作品に心引かれる。しかし、牧原は、家元制度の廃止を訴えており、丹生流を始めとする伝統生け花緒流にとっては敵のような存在であった。(もっとも、それには一応の理由があり、後の方で明らかになるのだが。)その牧原の秘書中瀬が殺される。 華やかな生花の世界の裏で起こった殺人事件。光彦は、事件の真相を追うが、最後の解決の方法は、やはり光彦流であった。 昔住んでいた一乗寺などの地名も出てきて、懐かしい思いで読むことができた。 「華の下にて」(内田康夫) ○応援してね。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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