1700695 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

風竜胆

風竜胆

Category

Favorite Blog

ある閉ざされた雪の… New! じらーるぺるごーさん

おかんのミニ色紙。 ブラジョンさん

諏訪台71会ー20… Frankenstein0313さん

気まぐれんな旅行屋… 富士家のぱこさん
マークス・ストーリー マークス5406さん

Archives

April , 2024
March , 2024

Calendar

Freepage List

Keyword Search

▼キーワード検索

March 8, 2013
XML


 ヴィクトリア朝のロンドンを舞台にしたミステリー「護りと裏切り」(アン・ペリー/吉澤康子:東京創元社)。主人公は、へスターという女性。クリミア戦争でナイチンゲールと一緒に働いたという箔付きの看護婦。現在は、足を骨折した軍人の世話をして、生計を立てている。<戦争中にあまりにも多くの無能ぶりや混乱、そして自尊心と力量不足という邪魔が無ければ避けられたはずの死に遭遇したため、そうした至らなさを目のあたりにすると・・・(略)・・・つい逆上し、短慮な言葉を吐いてしまう>というのだから、なかなか気の強い女性のようだ。おまけに頭の回転も速く判断力もある。

 彼女と対照的なのが、友人のイーディスだ。華やかさはないが、感じの良い容姿をしており、性格も優しげだ。そのイーディスの兄で、世間では英雄扱いされていたカーライアン将軍が、階段から落ちて、甲冑の置物の鉾槍で胸を刺されて死亡する。当初は事故だと思われていたが、その妻のアレクサンドラが犯人だとして逮捕されてしまった。へスターは、イーディスの頼みで、友人の弁護士ラスボーンや元警官の私立探偵モンクらと事件の真相を追究するという訳だ。

 本当に彼女が犯人なのか。調べても、彼女以外に犯行が可能な人物は出てこない。もし彼女だったらいったいなぜ夫を殺したのか。アレクサンドラは、主人の不義が原因だと自白している。しかし、何かを隠しているようだ。つまりは、「半落ち」の状態。へスターたちは、なんとか犯行の裏にある秘密を突きとめようとするのだが。

 真相にたどり着くまで、なかなか話が進まず、途中で中だるみの観があるのは否めない。それでなくても長い作品なのに、記憶を無くしているモンクの脳裏に浮かぶ女性を突きとめるエピソードなどは、、本当に必要なんだろうかと思ってしまう。 ところが、下巻の途中から、驚くような展開を見せるて、ここからは、がぜん面白くなってくる。

  暴かれるのは、世間で英雄と思われていた男の反吐の出そうな本性。、それだけではなく、他にも下劣な連中が次から次にあぶり出されてくる。社会的には立派と言われる人間も、裏では何をやっているか分からないということか。描かれているのは正に背徳の極み。人は、マスコミや噂によって作られた虚像しか見ないものだ。これは現代でも変わらない。我々は、世間の評判に惑わされずに、仮面の下に隠れている本当の顔を見通す事ができる眼力を持ちたいものだ。



※本記事は、「本の宇宙」に掲載したものの写しです。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  March 8, 2013 07:49:24 AM
コメント(0) | コメントを書く
[日々の読書(ミステリー)] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.