銀影あゆの釣りライフ　鮎釣り行脚２０１３

「いいねー。そういうの待ってたよ」

良いほうに転がったようだ。さて問題は中身。

ちょっとあてがあったあのＣＤを探してこよう。

昨年、僕の車で新潟に遠征に行ったときに、ブルース好きな、釣りクラブの

先輩が「少し貸しておくよ」と言ってくれたＣＤだった。

あれだけブルースの好きな人のお勧めだから大丈夫だろう。

車のグローブＢＯＸからそのＣＤを取り出し、急いで店に戻った。

しばらく使っていないＣＤデッキ。使えるか心配だったが、問題は無かったようだ。

「いいねー。深いのがいきなりくるねー」

何やら、良いらしい。この曲がどうとか、このシンガーがどうと言われたら、

どうしようかと思っていたが、２人ともすっかり、曲とお酒の世界に入ってくれたらしい。

ところがしばらくすると、どうもＴＶの音が耳障りになったらしい。

２人は時折後ろを振り返り、誰も見ていないのを確認すると、

「マスター、ＴＶ消そうよ」

と言ってきた。

僕も誰もみていないのだろうな、と思いおもむろに消した。

すると、あの「焼きうどん」が、

「ＴＶ見てるんだよ」

と怒りを含ませるように言った。

僕とカウンターの２人が驚いたのは言うまでもない。

そして奴は、少し遅れてテーブルを「ドン」と叩いた。

僕はこの店を始めて以来の怒りを感じた。

奴よりも、テーブルを見てしまった。

それは、少なくなった僕の拘りのがその席にはあったからだ。