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カテゴリ:2008年04~07月読書
[1] 読書日記
<犯行現場に残された厖大なデータのなかから、何を解析したらいいのか、 どの情報は捨てるべきなのかを熟慮し、複数の属性にまたがった隠れた法則を 見出して犯人を追いつめる作業は、極めてデータマイニング的である。 ただし、データマイニングは、データ収集、必要情報の取捨選択など、解析作業に 入る前の下準備に厖大な時間がかかるので、たいていの場合、連続殺人はすでに 終了していて、「後から出てきて偉そうにご託を並べたけど、結局誰の命も救えな かったじゃないか」と、探偵は非難されるのである。> 「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」のデータマイニング版とも言える一冊、 岡嶋裕史 「数式を使わないデータマイニング入門」(光文社新書) を読了。 クラスタ分析の例として、ガンダムのモビルスーツを4つのクラスタに分類して分析し てみたりと、多少マニアックなネタは出てくるものの、極めて平易にして明解な、 データマイニングの入門の入門の入門の入門を教えてくれる概括本。 言うまでもなく、初歩の初歩の知識ではなくもっと深く知りたい人や、とっくに入門を 済ませているような人、即実践・実用化をしたい人のニーズに応えるような類の本では ない。 しかし、データマイニングというものを切り口にして、<好むと好まざるにかかわらず、 情報を搾取されないと生活できない世の中が現出しているのである>と話を進め、最終的 には情報管理社会、そしてその先にある監視社会(<なんらかの形で自らの痕跡やログが 残る情報機器は、すべて監視機構になり得るのである>)に警鐘を鳴らし、 <こうした状況下においては、情報機器や情報ネットワークに対する理解の度合いが、 個人の社会における位置を規定する。 情報に精通していない人は、そうとは気づかないまま監視のもとにおかれ、情報を搾取 され、管理される。それに対して、情報に精通している人は、集積する情報を利用し、 他者を管理する側にまわり、自らを監視の外に置く方法を知り得るのだ。> 社会システムへの学習、理解、精通を促す啓蒙の一冊となっている、良書でもある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年05月29日 20時33分26秒
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