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カテゴリ:低位株
前回に引き続き、3250 ADワークスの話。
17日現在の株価は49円。低位株ランキングの堂々15位に位置している。 将来性は高そうなのに、なぜ株価は安いのか。 上場以来、分割、増資を繰り返し、株数が会社の規模に対して異常に多いためである。 会社の年商100億円程度にとどまるのに、現在の発行済株式が約2.2億株。年商数千億円規模の会社並みの株数に達しているのだ。 その経緯を見てみたい。 1.上場 平成19年10月にジャスダック市場上場。 発行済株式数:34,020株 公募価格70,000円。 ちなみに、20年3月期の高値は、上場2日目の213,000円。その後の安値29,400円。 期末の株主数は1,341人。 2.1回目の分割 平成21年10月に1株を2株に分割。流動性の向上、株主数の向上を目的との説明。 発行済株式数:70,460株に(IPOから初回分割までに新株予約行使や買入消却あり)。 ちなみに、 22年3月期 分割前の株価 高値47,500円 安値15,000 分割後の株価 高値19,500円 安値11,000 期末の株主数は1,387人。 3.2回目の分割 平成22年7月に1株を2株に分割。投資金額の引き下げ、流動性の向上、株主数の向上を目的との説明。 発行済株式数:140,920株に。 ちなみに、 23年3月期 分割前の株価 高値32,500円 安値9,300 分割後の株価 高値23,390円 安値6,340 期末の株主数は1,873人。 4.1回目のライツ・オファリングによる増資 ここで、少しライツ・オファリングについて。 ライツ・オファリングとは、既存株主に新株予約権を無償で割り当て、株主側に新株予約権を行使するか市場で売却するかの選択肢を与える増資手法。一般投資家が、新株予約権を市場で購入して増資に応じることも可能。 第三者割当増資や、通常の公募増資と比較しても、既存株主への配慮がなされ、公平性の高い増資手法と思う。ADワークスでの成功が、その後の普及につながった。 ライツ・オファリングの手法確立は、一般株主の権利保護という視点から平成最大の功績があると思うし、投資家の視点でも妙味があるので、また後日あらためて記事を書きたいと思う。とりあえず、三田証券の人ありがとう、と書いとく。 さて、本題に戻り、このときのライツ・オファリングは以下のとおり。 目的は販売用収益不動産取得原資の調達との説明。 平成24年10月16日の株主に新株予約権を無償で割り当て(1株につき1個)。 新株予約権1個につき、行使価格4000円で1株を交付。 新株予約権は10月17日から12月7日まで証券取引所に上場。 ノンコミットメント型だったが、事前の会社側想定を大きく上回る92.8%の行使率で、約5億円を調達。 発行済株式数:266,013株に。 ちなみに、 25年3月期 権利落前の株価 高値9,250円 安値5,260 権利落後の株価 高値18,740円 安値4,550 期末の株主数は3,738人。 5.3回目の分割 平成25年5月に1株を4株に分割。株主数・株式数!!の増加、流動性の向上を目的との説明。(株式数の増加を目的にうたうとは驚きである、が、それはさておき) 発行済株式数:1,064,052株に。 6.4回目の分割 平成25年10月に1株を100株に分割、あわせて100株を1単元とした。全国証券取引所の「売買単位の集約に向けた行動計画」の趣旨を鑑みたとの説明。 発行済株式数:112,582,800株に(3回目の分割以降に新株予約行使あり)。 7.2回目のライツ・オファリングによる増資 目的は販売用収益不動産取得原資、バリューアップ資金の調達との説明。 平成25年10月25日の株主に新株予約権を無償で割り当て(1株につき1個)。 新株予約権1個につき、行使価格20円で1株を交付。 新株予約権は10月28日から12月6日まで証券取引所に上場。 コミットメント型につき、100%の行使率で、約22億円を調達。 発行済株式数:223,725,600株に。 8.まとめ 以上が、今までの経緯。 分割、増資を繰り返しているが、わずかなストックオプション的なものを除いて、既存株主に不利なものは皆無。 ちなみに、初めに1株所有していた株主が途中の増資に応じ今でも保有しているとすると、 増資資金に合計80,000円必要となるが、株数は6,400株に増えている計算。 現在の株価49円×6,400株=313,600円の評価額。 IPO直後の高値213,000円で掴んだ株主ですら利益が出ている計算になる。 なお、会社が常に理由としてあげていた株主数の増加も進展、その他の要件も含め、なにげに東証二部経由での東証一部指定の基準もクリアできた。 2回に渡って、ADワークスについて書いたが、私がポイントとして考えるのは、 ・バリュー投資的観点からは、指標的に割安なわけではない。 ・アベノミクスによる富裕層の資産増と相続税対策を背景に、会社の収益が拡大することを期待。 ・一方、低位株であり、バクチの札としての価値を加味できる。 ・そのため、万人に受け入れられる銘柄とは思わないが、私としては持っててワクワクできる楽しみな銘柄。 ところで、今後の動きで、1点だけ気にするとすると、 たぶん無いと思うけれども、 もし、株式併合が行われるなら、即売り。バクチの札としての価値が剥落するからである。(セブンシーズHDの例が参考になる) というところで、ADワークスについては終わりにしたい。 ※ 投資は、損しても得しても自己責任で! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 19, 2014 01:51:21 PM
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