このところ取り上げる機会の多い「Jazz New Chapter」に載っていた一枚。
ニコラスペイトンといえば、メインストリームジャズの演奏しか聞いたことがなかったので、この雑誌に載っているとは思わなかった。
それもかなり高評価だった。
このアルバムは基本的にはダンス音楽だ。
ヒップホップ／Ｒ＆Ｂ系の音楽だろうか。
ジャズっぽさはあまりない。
ジャズを感じるとしたら、「Don't I Love You Good」などのゆったりとした音楽でのミュートプレイくらいか。
それに、なんとトランペットは主役ではない。
いわばペイトンによるヴォーカルアルバムだ。
ペイトンのヴォーカルはジョージ・ベンソン張りで渋く、とてもうまい。
余技とは言えないレベルだ。
「Give Light,Live Life,Love」などは上質のソウル・ミュージックそのものだ。
最初は少し違和感があったのだが、それはトランぺッターのペイトンと思って聴いていたからなのだろう。
ペイトンという歌手のアルバムと思えば何ともない。
スキャットまで披露していて、いったいどこで習得したのだろうか。
初期は生まれ故郷のニューオーリンズに根差した音楽をやっていたのだが、こんな音楽をするとは夢にも思わなかった。
僅かにニューオーリンズを感じるのはタイトル・チューンでのバック・コーラスとのコール＆レスポンスでくらいだろうか。
ペイトンは若いと思っていたが、１９７３年生まれだから、録音当時４０歳前だが、感覚がとてもフレッシュだ。
メンバーを見るとヴォーカル以外の楽器も作詞作曲もペイトンがひとりで全部やっている。
そのバイタリティにも驚いてしまう。
このアルバムの後２枚リリースしているので、それも含めて、彼の音楽の変遷はとても興味がある。
録音が凄い。
何しろ音圧が半端なく、ヴォリュームを上げると壁がびりびりと震えるほどだ。
こんな経験は今までしたことがない。
このアルバムを深夜大音量で聴いていたらさすがに妻からクレームが来た。
聴いている部屋は本格的な防音は施していないが、壁を厚くして断熱材を一杯入れて、簡易的に防音をしている。
さすがに振動までは吸収し切れなかったようだ。
妻がいる部屋は、１０ｍ以上離れているのだが、振動が廊下を伝わって増幅しているのかもしれない。
Nicholas Payton:Bitches(IN + OUT Records IOR CD 77111-2)
1.By My Side (Ildeth’s Blues)
2.Freesia feat: Esperanza Spalding
3.Shades of Hue
4.Truth or Dare
5.Togetherness Foreverness feat: N'Dambi
6.Indigo
7.You Are the Spark
8.The Second Show (Adam’s Plea)
9.Flip the Script feat: Saunders Sermons
10.Love and Faith
11.Don’t I Love You Good
12.iStole your iPhone
13.You Take Me Places I’ve Never Been Before feat: Cassandra Wilson
14.Give Light, Live Life, Love
15.Bitches
