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bunakishike
折に触れて聞いた音楽の感想をだらだらと書いています。
音源は主に海外サイトからダウンロードしたハイレゾで、その他観たコンサートや映画などの感想を綴っています。
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渡辺香津美のデビュー45周年記念アルバムを聴く。
このアルバムは２０１３年から始まったライブ「ギター・ビューティフル」がもととなっている。
普段国内盤は高いので、極々特定のミュージシャン以外はよほどのことがない限り買わない。
渡辺香津美のアルバムも少ししか持っていない。
ただ何故かライブは結構見ているので、好きなミュージシャンの部類に入っているのだろう。
今回何故購入したのか自分でも |
よくわからないのだが、これが大当たりだった。
ギターのデュオなのだが、色々なジャンルのギタリストとのデュオで、各々一曲ずつ。
最後にそれまで共演したメンバーが一堂に会したセッションが組まれている。
殆んどが渡辺自身のスタジオで録音されている。
ブックレットの渡辺の言葉を借りれば、『ギター2本だけで「せ～の」一発勝負で対面して奏でた』のだそうだ。
ジャンルの違うミュージシャンとのセッションが多いので、全てがジャズになっているわけではないが、それらを含めて、演奏の水準が恐ろしく高い。
どのナンバーも甲乙つけがたい。
ギターのみのセッションというと、マクラフリンやパコ・デ・ルシアたちのスーパー・ギター・トリオの演奏が思い浮かぶ。
彼らの演奏はどうしても早弾きを競うようなものになってしまう。
なので、聞き手もその方面に注目してしまうきらいがある。
今回の演奏では、早弾きは少なく、純粋に二人の演奏に耳を傾けることができる。
ジャンルの異なるミュージシャンが多いので、曲もバラエティに富んでいて退屈しない。
その中で気に入ったのは、フラメンコ・ギターの沖仁との「Flamenco Blue」。
渡辺はここではエレキ・ギターを使っていて、本来ならば水と油の様な組み合わせなのだが、うまくいっている。
激しい演奏だが、火花を散らすというわけではない。
とにかく熱い演奏だ。
谷川公子の情熱的な曲からインスパイアされている部分も、かなりありそうだ。
Luna SeaやX Japanで活躍しているSUGIZOとのデュオは「Round Midnight」。
この異色の組み合わせが、モンクの名曲を弾くという大胆な発想が、素晴らしく熱い演奏をもたらしている。
因みにSUGIZOは渡辺の昔からのファンだそうだ。
押尾コータローとのラヴェルの「ボレロ」もダイナミックな演奏で聞きごたえ十分だ。
渡辺の１２弦ギターのカラフルなサウンドがギター２本で演奏されていることを忘れさせる。
全ての曲に共通するのは、ギター２本のコラボレーションの見事さ。
初共演の組み合わせが多いが、そんなことは全く感じられないほど、二人の距離感が近い。
演奏自体は一発勝負とはいえ、そこに至るまでの入念な準備がこのアルバムが成功した一つの要因だと思う。
個人的に少し残念だったのは、谷川のキーボードとミノ・シネルのパーカッションに乗って、すべてのギタリストが一堂に会してソロをとる最後の「アイランド・ホップ」がカリプソ風の軽い音楽だったこと。
ほっこりするような曲で悪くはないが、せっかくみんな集まったのだからもう少し違った形もあったのではないかと思ってしまう。
ところで、最近時々感じるのだが、国内で制作されるアルバムが録音も含めて高水準であることが多い。
オケなどのアコースティックな録音では、録音の環境がものをいうので、日本のような高温多湿の環境はハンデがあるが、スタジオ録音ではハンデが少ない。
そういう良質な音楽を育てるためにも国内盤を買わなければならないのだが、価格の問題があり、そこにジレンマを感じている今日この頃だ。
それはさておき、すべてのジャズ・ファンはもとより、ギター・ファンにも絶対のお奨め！！
渡辺香津美：ギター・ビューティフル KW45（WARENER WPCR-17069)
1.ザ・カーブ・オブ・ライフ
2.フラメンコ・ブルー
3.ティコ・ティコ
4.ジャンミ
5.ラウンド・ミッドナイト
6.トリステ
7.丘の上
8.ボレロ
9.ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア
10.リップル・リング
11.ソレイユ
12.アイランド・ホップ
渡辺香津美(g)
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Last updated
2016年04月20日 22時19分03秒
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