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カテゴリ:クラシック音楽
Naxosのブラジル音楽シリーズの一枚。 セサル・グエラ=ペイシェ(César Guerra-Peixe)(1914-1993)という作曲家、指揮者、ヴァイオリニストの作品集。 wikiによると『ゲラ=ペイシェは、ポルトガルから移住したロマ族の両親のもと、ブラジル東南部のリオデジャネイロ州の高原上にあるペトロポリスに生まれた。 ブラジル北東部の伝統音楽・文化に強い関心を持ち、ブラジルのナショナリズムの要素をさまざまに取り入れて作曲を行った。 ブラジル文化の研究と普及に生涯を捧げ、貢献した』とのこと。 リズミカルかつメロディアスで、打楽器が多用された色彩豊かな音楽は大変親しみやすい。 決して暑苦しくはなく、ブラジルの風を感じさせる爽やかな音楽だ。 北米の音楽との親近性も感じられる。 「Roda De Amigos」はディヴェルティメント的な小粋なユーモアたっぷりの作風で、なかなかの傑作。 「roda」とは、仲間を集めて円陣を組んで音楽を演奏することを意味し、ブラジルの文化に古くから根付いているという。 この曲では4本の木管がフィーチャーされていて、特にファゴットのコミカルな表情は聴き手をにんまりさせてくれる。 第1曲はファゴット、第2曲はクラリネット、第3曲はオーボエ、第4曲はフルートが活躍する。 フランス風のしゃれたユーモアが感じられる組曲で、もっと演奏されてもいい感じがする。 タイトルはその楽器から連想される性格を表しているようだ。 1,2曲はコミカルな作風。 3曲は哀愁を感じさせるゆったりとした曲。 第4曲の中間部でフルートの無伴奏の部分があり、ホイッスルのような音を出すところが面白い。 ※後で調べたら、「ホイッスルトーン」という名前の奏法だった。(2023.4.2追記) 交響組曲はどちらも1955年の作曲。 両方ともブラジルの伝統舞踊に基づいた音楽でシンフォニックだが、第1番のほうが多少シリアスムード。 強烈なリズムの第2番のほうがインパクトが強い。 第1番はサンパウロ州の舞踊形式の音楽を基にしている。 「カテレッテ」はブラジルの南中部地方のダンス。 剛直でダイナミックな少し速い部分とエキゾチックな旋律が流れる、ゆったりした部分が短い間隔で交互に出てくるド派手な曲。 「ジョンゴ」は、サンバに似たアフロ・ブラジルのダンス。 3+3+2の特徴のあるリズムが速いテンポで繰り返されるなかで、弦が小刻みにメロディーを演奏し、金管が咆哮する。 後半の哀愁を感じさせるメロディーもいい。 聴いているとゾクゾクしてくるような傑作! 第3曲の「Recomenda De Almas(魂の称賛)」は死刑になった人、森で行方不明になった人、告解を受けずに亡くなった人などの鎮魂のための行列で歌われる歌を基にしている。 親しみやすい旋律とバックの沈鬱な表情のコントラストが面白い。 第4曲の「タンブー」は「ジョンゴ」のサンパウロ州での呼び名だが、第2曲は舞踊、第4曲は楽器に対するもの。 イントロのトロンボーンのアンサンブルが美しい。 弦も雄弁だ。 途中からテンポアップして驀進する。 エンディングの盛り上がりもなかなか。 交響組曲第2番はペルナンブーコ州に因んだ「ペルナンブカーナ」という名前が付けられている。 「マラカトゥ」はブラジルペルナンブーコ州のレシーフェがメッカの少しアフリカ色のある伝統的なブラジル音楽。 多彩な打楽器が使われているが、基本的にはチューバの強奏に代表されるような、ダイナミックで、かなり剛直な音楽が展開される。 愁いを帯びた第2主題とこの剛直な音楽が同時進行する後半はなかなか聴き物。 「ダンサ・デ・カボクリーニョス」は「カボコリーニョ」というカーニヴァルの舞踊形式に基づく音楽。 かなり速いテンポの曲で、イヌビア(小笛に似た高音管楽器)を模したピッコロが活躍する。 「アボイアード」はゆったりとした牛飼いの歌で、ブラジルの大地の風景が目に浮かぶような音楽だ。 因みにブラジルは世界有数の牛の産地だそうだ。 最後は一転して猛烈な速さの「フレーヴォ」 畳みかけるようなリズムと圧倒的な高揚感のうちにエンディングを迎える。 この曲と第1番の「ジョンゴ」はアンコールで演ったら大うけすること間違いなし。 吹奏楽編曲もいけそうだ。 ゴイアス・フィルハーモニー管弦楽団は指揮者のブラズ・デ・ピナ・フィーリョによって1980年に創設され、2012年拡大再編成され、2014年からは指揮者ニール・トムソンのもとで大きく発展した。 現在はブラジルの3大オーケストラの一つに数えられているそうで、ローカル色を残しながらも、機動性は高い。 サウンドは低音域が軽く、ラテン系の明るいもの。 お国柄か、リズム対する感度は高い。 曲にもよると思うが、全体に人懐っこい雰囲気が漂い、聴き手も無条件で楽しめる。 しばし南米の熱狂に身を任せるのも悪くないだろう。 録音は普通だが、少し地味でざらつき気味。 こういう録音こそ、ハイレゾで聴きたい。 César Guerra-Peixe: Symphonic Suites Nos. 1 and 2; Roda de Amigos(Naxos 8.573925)16bit 44.1kHz Symphonic Suite No. 1 'Paulista' (1955) 1. I. Cateretê II. Jongo III. Recomenda De Almas IV. Tambu 5.Roda De Amigos (Circle of Friends) (1979) I. O Rabugento(不機嫌な人) II. O Teimoso(頑固な人) III. O Melancólico(憂鬱な人) IV. O Travesso(いたずらな人) 9.Symphonic Suite No. 2 'Pernambucana' (1955) I. Maracatu II. Dança De Cabocolinhos III. Aboiado IV. Frevo Felipe Arruda(fag. track5-8) Patrick Viglioni(cl track5-8)) Raul Menezes(fl track5-8)) Públio da Silva(ob track5-8) Goiás Philharmonic Orchestra, Neil Thomson Recorded 5-8 November 2016 at Centro Cultural Oscar Niemeyer, Palácio da Música Belkiss Spenzièri, Goiâna, Goiás, Brazil. The Goiás Philharmonic Orchestra is a body of the Goiás State Government, under the Department for Development and Innovation. お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023年04月02日 17時24分39秒
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