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音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2023年04月16日
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ユージン・コーポロン指揮ノース・テキサス・ウインド・シンフォニーの新譜が出た。
GIA WIndworksの3年ぶりの新作で、今回は2枚のリリース。
前作まではCDで聴いていたが、最近ダウンロードも始めたので、今回はダウンロード版。
ブックレットも付いているのでCDよりだいぶお得だ。
presto musicとqobuzからリリースされていたので、安いほうのqobuz usから入手した。
その中で今回は「Closure」と題されたアルバムについて。
このアルバムで取り上げられているのは、すべてアメリカの作曲家の作品。
ロバート・リン(1925-1999)の「Elevations」
この曲は未出版であったがジャック・スタンプとドメニック・ピサーノにより新刻版が作成された。
このアルバムでは最も古い1964年の作曲で時代を色濃く反映させている。
ブックレットによると、この曲が第13回全米大学吹奏楽監督協会(CBDNA)大会で初演されたコンサートで、師のインゴルフ・ダールの「シンフォニエッタ」(1961)とコープランドの「エンブレムズ」の初演があったためにこれらの傑作に気おくれしたためか出版が見送られたという。
当時のアメリカの空気を感じさせるスカッとした作品で、これを機に演奏の機会が増えてくれれば嬉しい。
ボルコムのクラリネット協奏曲は24分ほどで、ノース・テキサス大のキンバリー・コール・ルエバノというクラリネット奏者をフィーチャーしている。
原曲は管弦楽でニューヨーク・フィルからの委嘱作品。
ブックレットによると、作品にはベニー・グッドマンの演奏スタイルが反映されているとのこと。
ボルコムらしいノスタルジックで、気楽に聴ける作品だ。
クールな第1楽章、ゆったりとしたワルツで素朴なテイストの2楽章、ブラジルのショーロとラヴェル風のワルツが交互に演奏される3楽章と、ボルコムらしいユニークな作品。
キンバリー・コール・ルエバノのソロに特に不満はない
アンソニー・オトゥール(1988-)の「ラテン・ダンス・ムーヴメント」は題名通りラテンのダンス音楽の組曲。
5楽章からなる10分ほどの組曲。
前奏曲は重々しい雰囲気なものの、他のナンバーはラテン音楽の人懐っこく、陽気な音楽が楽しめる。
お手軽と言っては言い過ぎかもしれないが、それほど強く印象に残る曲ではない。
その中では、キューバの乾いた空気を感じさせる「ボレロ」がいい。
ベトナム系アメリカ人のヴィエット・クオン(1990-)の「Re(new)al」は4人の打楽器奏者のための協奏曲。
変わっているのは、楽器でない物(compressed air cansと呼んでいるが実態は不明)を鳴らすとか、プリペアード・ピアノのように、ヴィブラフォンにアルミホイルを付けたりして新しいサウンドを試みているところだ。
作品自体はそれほど面白いものではないが、クリスタルグラスやcompressed air cansを鳴らして東南アジア風のサウンドやアルミ・ホイールをつけたヴィブラフォンのキラキラした音が印象な第3楽章など、その新奇なサウンドは同業者にとってもなかなか興味深いものだろう。
ポール・ドゥーリー(1983-)の「マニフェスト」は宗教的な雰囲気と快活なモチーフのコントラストが面白い「Aero-poem」、まったりとしてユーモラスな「Futurist Flowers」、グレインジャーの「岸辺のモリー」を思い出させ、エンディングも印象的な「Star Dancer + Her School of Dance」の3曲からなる組曲。
小粒ながら、なかなか個性的な作品で楽しめる。
ということで、大作ではないが、選曲がよく、演奏の水準も保たれていて、彼らの健在ぶりが示されたアルバムだった。
 ところで、今回のリリースをもってコーポロンのこのシリーズへの録音は終了したということがサイトで述べられていたのには驚いた。
確定的な情報がないので理由は想像するしかないが、個人的には残念で仕方がない。
ブックレットの最後にコーポロンの感謝の言葉が述べられている。
1987年に始まったこのシリーズの最初の34枚はクラヴィーア・レーベルからリリースされ、その後GIAとの提携により、「WindWorks」、「The Composer's Collection」、「Teaching Music through Performance in Band Recordings」など現在のすべてのプロジェクトが一つの出版社の屋根の下に集約された。
特にGIAのオーナーであるアレック・ハリスの個人的な投資による事業の継続が大きかったことが書かれている。
ジャック・スタンプをはじめとする数人のプロジェクトメンバーに加え、150枚のアルバムと総勢3300名の演奏家、700人以上の作曲家の1300曲以上の作品が提供された。
最後に「吹奏楽というメディアとその音楽の包括性、深さ、価値を記録し、際立たせる一流の録音を提供すること」という私たちの使命が変わることはないと力強く宣言されている。
これらから考えると、30年以上にわたる壮大なプロジェクトはいったん終わりをつげ、新たなプロジェクトを始動するという宣言にも聞こえる。
このプロジェクトが30年以上続いた大プロジェクトで、関わった音楽家や提供された作品の膨大な数を見ると、このプロジェクトのスケールの巨大さが感じられる。
個人的には毎年出てくるお決まりの新譜くらいにしか思っていなかったが、周到な準備と大変な労力のかかった、プロジェクトであったことを改めて痛感する。
おそらく他の音楽分野では、このようなプロジェクトはないのではないだろうか。
そう考えると、長い年月をかけて作られる壮大な建築物にも匹敵する業績として、吹奏楽業界の人たちは誇るべきだと思う。
関係者には感謝しかない。

Eugene Migliaro Corporon,North Texas Wind Symphony:Closure(GIA Publications GIA CD-1126)16bit 44.1kHz Flac


1.Robert Linn(ed. Jack Stamp/Dominic Pisano):Elevations(1964)
2.William Bolcom:Concerto for Clarinet(2014)
  I. Allegro
  II. Cantabile
  III. Scherzo - Finale
5.Anthony O'Toole:Latin Dance Movements(2021)
  I. Prelude
  II. Samba Despreocupada
  III. Bolero
  IV. Beginner's Rhumba
  V. Discoteca
Viet Cuong:Re(new)al(2021)
   I. Hydro
  II. Wind
  III. Solar
Paul Dooley:Manifestos(2019)
  I. Aero-poem
  II. Futurist Flowers
  III. Star Dancer + Her School of Dance

Kimberly Cole Luevano(cltrack2-4)
North Texas Wind Symphony
Eugene Migliaro Corporon





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Last updated  2023年04月17日 17時22分28秒
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