|
カテゴリ:吹奏楽・ブラスバンド
先ごろ亡くなったジャズ・ピアニストのチック・コリアが最晩年に作曲したトロンボーン協奏曲の録音が出た。 ニューヨーク・フィルのジョセフ・アレッシ(1959-)の委嘱作品で、アレッシとチックの橋渡しをしたのが同じスライド・モンスターズのメンバーである中川英二郎というのはよく知られた話。 原曲は多分オーケストラ伴奏のはずだが、今回の録音は吹奏楽の伴奏。 もともと高かったのでペンディングにしていたのだが、prostudiomastersが安いのが分かり購入した。 この作品のクレジットを見ると、コリア、アレッシのほかにジョン・ディクソンという作曲家の名前が入っている。 この方が吹奏楽版の編曲をされたようだが、管弦楽版でもアレンジを手掛けている。 全体にスパニッシュ・フレーバーの横溢した楽しい作品で、ラテンの乾いた砂漠を思い出させるような雰囲気も感じられる。 全体的にチックの作品らしく屈託のない表情が感じられるような作品だ。 一寸シリアス・ムードなのは間奏曲的な第3楽章くらいなものだろうか。 ブラスの扱いもブラス・アンサンブルを聴いているようなところもあり、ブラス・ファンとってもなかなか興味深い作品だ。 打楽器やピアノ、ハープなども使われていて、色彩的な作品になっている。 チューバが結構聞こえるのも珍しい。 最終楽章は普通なら力の入った曲になるものだが、変拍子でマラカスが活躍するエキゾチックな楽章になっているところがチックらしい。 トロンボーン・ソロは超絶技巧は聞こえないものの、聞かせどころ十分で、アレッシのメロウなハイ・トーンと共に楽しめる。 インタビューでは第4楽章のコーダの部分で自分の最高音であるF?が出るところがあると話されていたので注目してほしい。 一応クラシック作品なのだが、チックが元気な頃のクラシック系の作品に感じられる気負いがなく、ある意味練れた作品だろう。 筆者はモートン・グールドの作品のムードに近いものを感じた。 おそらくは今後も演奏されていくに違いない、チック晩年の傑作!。 後半はJorge Machainの作品。 マシャインはメキシコ生まれのトランぺッター、作編曲家で、現在ラスベガスで活躍しているそうだ。 作曲はクラシックとジャズ、映画音楽など多岐にわたるようだ。 「Five Cities」は、ブラス・クインテットとウインドバンドのための協奏曲で、このアルバムの指揮者トーマス・G・レスリーがボストン・ブラスのために委託した15分ほどの作品。 吹奏楽にジャズのスインギーなテイストの加わった、なかなかしゃれた作品。 第1曲はファンファーレ的な曲。 第2曲は「City Of The Sea」と題された静かな曲。 波を思わせるような金管のアルペジオが聞こえる。 「City of The Forest」と題されたブラス・アンサンブルのためのカデンツァは、トランペットのハートンで度肝を抜かせる。 最後の「City Of Mankind」はカデンツァからのムードを惹き付いてバック共々熱気のある演奏が続く。 スインギーでハイ・トーンを駆使したトランペット・ソロが光る。 他にホルヘ・マシャインのオリジナル「Her Name is Nessa」と彼が編曲したスタン・ケントンの「Fanfare for the New」が収録されている。 録音は悪くないが、くすんだ音色でもう少し透明度が欲しかった。 オーケストラ版全曲25分 ADDA·SIMFÒNICA ALICANTE Josep Vicent アレッシのインタビュー 1分47秒からチックが登場する場面もある。 インタビューの対訳 UNLV Wind Orchestra Joe's Tango: Concerto for Trombone & Other Works(Navona Records NV6572)24bit 96kHz Flac 1.Hugo Montenegro: Fanfare for the New(arr. For Wind Ensemble by Jorge Machain) 2.Corea: Concerto for Trombone(arr. for Tronbone & Wind Ensemble by John Dickson) 6.Jorge Machain: Her Name is Nessa 7.Jorge Machain: Five Cities Joseph Alessi(tb track 2-5) Boston Brass (track7-9) Hugo Montenegro, Jorge Machain UNLV Wind Orchestra Thomas G. Leslie お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024年03月22日 16時30分27秒
コメント(0) | コメントを書く
[吹奏楽・ブラスバンド] カテゴリの最新記事
|