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音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2024年04月15日
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カテゴリ:クラシック音楽

香港出身のイギリスの若手作曲家のダニ・ハワード(1993-)の管弦楽曲集を聴く。
例によってpresto musicで紹介されていて、spotifyで聞いたところ良かったので、一番安いと思われるHigresaudioからダウンロード。
基本的にはポスト・ミニマル・ミュージックなのだろう。
ジョン・アダムズのような明快な作風で親しみやすい。
さしずめミニ・アダムズ?。
管弦楽だが管が優勢なオーケストレーションで、吹奏楽アレンジでもいけそうな気がする。
ハーモニーは分厚いが、見通しがよく爽やかで、きびきびとした運動性にも欠けていない。
ただ、似たような楽想の曲が多く、すぐ区別がつかないところが難点だろう。
トロンボーン協奏曲と最後の「アーチ」は2管編成で他は3管編成の管弦楽。
小鳥のさえずりや大自然の脅威を感じさせるような楽想が頻出するのが特徴だろうか。
ラテン語で銀の意味の「Argentum」(アルゲントゥム)はイギリスのクラシック専門放送局Classic FM創立25周年の委嘱作品を祝う6分ほどの曲。
明るく軽快な曲調だがティンパニや金管の一撃で曲の剛直性が露になる。
所々にブリテンなどのイギリス音楽の影響が垣間見られるのが面白い。
トロンボーン協奏曲はロンドン交響楽団首席のピーター・ムーアのソロ。
明るく豊かなサウンドで、この楽器にしては細かな音符の続く曲を凄まじい勢いで演奏している。
第2楽章は小鳥のさえずりや風、雷などの自然の風景を思わせる楽章でトロンボーンが悠然と歌う。
またトロンボーンでは珍しい重音奏法が出てくるところも、聴きどころの一つだ。
決然とした意志を感じさせるような第3楽章「Illumination」
16分音符が連続する困難なパッセージが続くが、ムーアは鮮やかなテクニックで楽々乗り切る。
エンディングのダイナミックでエネルギッシュなサウンドは実に興奮させる場面だ。
革新的なトロンボーン協奏曲の誕生を思わせる、すぐれた作品。
「Arches」は彼女の最初の管弦楽作品。
音楽大学卒業当初は管弦楽曲の書き込みの多さから、大規模なオーケストラ作品を手掛けることにしり込みをしていたという。
曲は、穏やかな楽想のイントロ後、弦の16音符の刻みに管のモチーフの断片がちりばめられて進行する。
やや明るい楽想でドラマチックな表現もあり、あまり深刻にならずに済む。
題名は初演されたロンドンのセント・ジョンズ・スミス・スクエアの建物の大胆で広大な「アーチ」に触発されたもの。
所々にゆったりとした田園風景を思い起こさせるような部分があり、一息つくことが出来る。
鳥の鳴き後を思わせるフルートのフラッター・タンギングも効果的。
「Ellipsis」は全曲にわたって刻まれる執拗なリズムに乘って、小鳥のさえずりや大自然の脅威を思わせる凶暴な金管のサウンドが延々と続く。
ただ、リズムを刻むのがいろいろな楽器に橋渡しされるので単調さから免れている。
中間部でテンポが遅くなり、ハープなどのゆったりとした楽想が流れるところに救われる。
また、エンディングの壮大な表現には戦慄を覚える。
音楽だけではなく、映像があれば理解が深まるような気がする。
「Coalescence」は「複数のものが一つに結合する」ことを意味する言葉で、作曲者は舗装された道路の金属の柵の中で成長する直径1mの木から人間と自然の相互作用についてのインスピレーションを得たという。
約12分の音楽で、変化に富んでいて、アルバム中随一の聞き物だろう。
この曲では最初のテュッティが終わった後の、静かだが緊迫した場面が印象的だ。
いろいろな楽器のサウンドの断片が散りばめられていて、弦のソロも入る。
教会の鐘?が鳴ると再び激しいリズムが刻まれる。
後半は他の曲と同じようなサウンドで、違いがよく分からなくなる。
暴れまくるティンパニやトロンボーンの荒々しいペダルトーンを含むテュッティが出現して突如として終わる。
ところでこのアルバムを聞いていたら、気分があまりよくない。
ChatGPTでミニマル・ミュージックが原因ではないかと思って調べてみたら、下記のような五つの答えが返ってきた。
「単調性」
「予測可能性」
「感情の不足」
「環境への適合性」
「個人の好み」
まあ、最後の個人の好みには笑ってしまうが、筆者にとって、抽象的で情報量が少ないため、感情的なつながりや表現が不足しているー「感情の不足」が当てはまるような気がする。
この結果から、どうやら筆者にとってミニマルミュージックは心理的にあまりよくない影響を与えているようだ。
なお、このアルバムのすべての作品は彼女のサイトで聞くことが出来る。

Dani Howard Orchestra Works(Rubicon RCD1125)24bit 96kHz Flac

1.Argentum(2017)
2.Trombone Concerto(2021)
  I. Realisation
  II. Rumination
  III. Illumination
5.Ellipsis(2021)
6.Coalescence(2019)
7.Arches(2015)

Peter Moore(tb track 2-4)
Royal Liverpool Philharmonic Orchestra
Michael Seal(track 1-4)
Pablo Urbina(track 5-7)

Recording: Liverpool Philharmonic Hall, 14 May 2022 (Argentum, Trombone Concerto) &
11 October 2022 (Ellipsis, Coalescence, Arches)





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Last updated  2024年04月15日 17時22分17秒
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