カテゴリ:映画-邦画
![]() で、今日の映画は、すーっと心に染みる中年のラブストーリー「いつか読書する日」。 ストーリー(公式ホームページより) 長崎の町で牛乳配達をしている大場美奈子(田中裕子)は50歳、独身。彼女は、高校時代付き合っていたがある事件がきっかけで疎遠になってしまった高梨槐多(かいた)(岸部一徳)の家にも牛乳を届けていた。末期がんで自宅で死を待つばかりの高梨の妻・容子(仁科亜季子)は、ある日美奈子を呼び出すのだった。 大場美奈子演じる田中裕子の、抑えた演技が良い。 朝、判で押したように正確な時間で届ける牛乳配達。昼間のスーパーでのバイト。 夜は読書の時間・・・・時として、死んだ親の友人皆川敏子(渡辺美佐子=ストーリーテラー)と過ごすちょっとだけの息抜きの時間。 淡々と美奈子を演じる田中裕子の演技に、引き込まれる。 その美奈子の秘めた恋の相手、高梨槐多演じる岸辺一徳のひょうひょうとした演技がそれにからんで、不思議な空間を作る。 電車で通勤する槐多と、その車窓から見える自転車でバイト先まで通勤する美奈子。 二人の視線は、けっして合うことはない。 このシーンは、けして混じり合わなかったそれぞれの30有余年を象徴する。 痴呆老人、児童虐待、末期がんの自宅介護、そう言った二人を取り巻く環境が「日常」として描かれ、お互いへの愛を暮らしの中に必死で押し込めようとする。 (皆川敏子の痴呆の夫、真男の目で映像化したシーンは見事。非常に解りやすかった) そして高梨の妻・容子の死によって、二人の時間が動き出す。 「いままでしたかったこと、全部して。」 今まで秘めてきた思いが、一気に吹き出す。 美奈子と槐多の、ぎこちないラブシーン。 それはまるで、それまでの30有余年の時間を埋めるかのごとく、せつない。 静かに静かに、そして燃え尽きた中年のラブストーリー。 こういった映画を見ると、まだまだ日本映画もすてたもんじゃない、と思う。 DVD「いつか読書する日」の購入はこちらからできます=> ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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