カテゴリ:映画-邦画
このところシリアスな映画の評論が続いたのでここらで心機一転、明るい、元気の出る映画の評論を一つ。
その映画は「SWING GIRLS」。もう一つのブログでも紹介しているけど、セーラー服好きな私にとって、たまらない一本である。(笑) ストーリー 公式ホームページより 舞台は東北の片田舎の高校。夏休み返上で補習を受けている女子生徒たちが、サボりの口実としてビックバンドを始める。当然のごとくやる気はゼロでサボる気満々。しかし、楽器からすこしずつ音がでてくるにつれジャズの魅力にひきこまれ、ついには自分達だけでバンド結成を決意!とはいえ楽器はないし、お金もない。バイトをすれば大失敗。なんとか楽器を手に入れて、いざ練習!と思いきや、今度は練習場所もなく、ついにはバンド解散の危機!?しかし、音楽への熱い思いがはちゃめちゃパワーとあいまって、紆余曲折を吹き飛ばし、感動のラストまで一直線!! 監督は「ウォーターボーイズ」の矢口史靖。 物語の進み方も、エンディングも「ウォーターボーイズ」とおおまかなところではほとんど変わらない。 でも、この映画はそんなことに目くじらを立てるような映画ではない。とにかく見ていて、スウィングしてしまうのだ。楽しくなってしまうのだ。仕事や家庭や、いろんな事で落ち込んだ時この映画を見ると、それらが吹き飛んでしまう・・・そんな映画だ。 それは、この映画に出てくる彼女たち(=スウィングガールズの面々)のひたむきさが伝わってくるからだろう。 最初、楽器がまったく吹けなかった彼女たちが、映画の制作がすすむに連れ次第に楽器をマスターしていった・・・その様子が、スクリーンを通してよく分かる。 よく分かるから、見ている私もなにくそっ!って自分を振り返って思うのだ。 こう書くとこの映画が勢いだけの映画だと取られるかも知れないが、けっしてそうではない。映画的にも完成度はかなり高い。 映画の本流は徹頭徹尾、「サウンドをみんなで作り上げる」と言うスタンスに貫かれていて、そこから観客の目をそらさない。横断歩道で流れてくるスピーカーの音から「裏打ち」を会得するシーンなどは、まさにそうだ。 そして次に、「みんなでスウィングする」という姿勢である。これはスウィングガールズとア ボーイのそれぞれのキャラクターをうまい具合に生かしている。 主役の上田樹里はもちろんのこと、トロンボーンの関口香織役の本仮屋ユイカが特にいい。リーコーダーからはじまって、肺活量、音だし、資金集め、演奏会などなどのエピソード、どれをとっても重要な役として絡む。上田樹里が表の主役なら、本仮屋ユイカは影の主役である。 この表と裏を使い分けながら、矢口監督は見ている我々をぐいぐいと映画の中に引き込むのである。「全ての人間が二種類に分けられる。スイングする者としない者」と、さあ、あなたはどっちだ!と言わんばかりに。 そしてラストの演奏会のシーン。 退席していった多くの観客が、彼らの音楽を聴いて会場に引き返す。 そこでは、プレーヤーと観客が一体となった演奏が繰り広げられる・・・。 この映画を見終わった私は、壁に立てかけてあったギターを手に取り、昔覚えた曲をつま弾くのである。 「負けるもんか!」と。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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